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カテゴリ:日本の生活(イベント、季節)
6月4日付け本ブログ「尖閣棚上げ?」の続きです。
尖閣の話は、その後も新聞紙上を賑わせているようです。新聞や雑誌、ネット情報などを見る限りでは「棚上げなどの事実はあった」と考える方が自然に見えます。 現に、現場に同行した岸井さんはその場で見てそうおっしゃってました。が、それを直接安部さんに言っても聞いてはくれないそうです。 知らないことは、信頼のおける人に聞くしかないと思うのですが・・・ 日本政府の主張が弱いのは「そういう記録はない」というだけのことだからです。 「断じて言ってない!」とか「私(政府関係者の誰か)はその場にいたが、そんな話には一切になっていない!」と言うならわかりますが、記録に残っていない、なんて説得力無さ過ぎです。 このブログを読んでいる方もわかると思いますが、日本の取締役会だって「一字一句」正式な記録として残しているわけではなく、「残すべき記録」と判断されたものだけが残っているわけです。 つまりそういう合意があったかどうかという事実ではなく、そういう合意があったことを記録として残すべきかどうかの政治的判断によるものだということです。 だから野中さんや中国側は「事実」を主張しているのに対し、日本側は事実ではなく「(政治的判断を踏まえた)記録」を主張しているというわけです。 岸井さんの言うように「歴史的経緯も国際法上も尖閣や竹島は日本の領土であることは間違いない」という主張と、「事実」認識は別のことだと思います。 政府関係の記録の一端がニュースに出ていましたが、そもそも田中角栄首相が「尖閣はどうしましょうか?」と持ちかけたとあります。 つまり、日本側が持ち出した話だということは少なくとも日本政府は認めるべきでしょう。であれば、その中には「領土に関する問題意識」があったと考えるべきなのは当然だと思います。 私がこう思うのは、中途半端な部分で否定していくとそのうち暴かれ、一番大切な主張まで「やっぱり日本は自分に都合のいいことしか言わない」と見られてしまうことが危険だということです。 で、その講演会で私は前から気になっていることを一つ質問させて頂きました。靖国問題です。 小泉さんや安部さんは、靖国参拝に対して中韓が文句を言うと「国に貢献した方々に参拝することに外国が文句を言うのはおかしいと言います。 私もまったく同感です。私はこの問題を国際問題とは捉えていません。純粋な国内問題として質問しました。 中韓が文句を言う背景にはA級戦犯の問題があります。安部さんらの主張は、A級戦犯は戦勝国による裁判で一方的なものだ。だからそれは関係ないと言います。 なるほど、それはそれでいいでしょう。戦勝国に裁いてもらうのが嫌なら、私はそれも一つの考え方だと思います。 で、ここからが私の国内問題としての質問です。「じゃあ、一体誰の責任なんだ?」 300万人とも言われる日本人があの戦争で命を失いました。そりゃあ、ロシアも怖かったでしょうし、アメリカも憎かったのでしょう。理由はここでは追求しません。 問題は責任者です。 A級戦犯は外国が裁いたから有効でないというなら、「じゃあ、日本としては一体誰が戦犯だと考えるのか?」への答えがないような気がしていたのです。 「日本人をあれだけ苦しめ、多くの犠牲者を出した責任者は誰だ?」という国民への答えです。 「日本としては、XXとOOが戦犯だと考えるが、戦勝国は勝手に違う人をA級戦犯だと決めつけた」というならわかります。 でも、私はそんなの聞いたことなかったので、この際滅多にない機会なので岸井さんに伺ってみたというわけです。 岸井さんの答えは、政治家と違って明確でした。「ドイツはヒットラー、イタリアはムッソリーニが戦犯だと明確にした」のに対して、日本はそこを全く明確にしていないというのです。 むしろ、A級戦犯にすべてをおっかぶせて、その問題はうやむやにしてしまった、とのことでした。 「日本人は、先輩らをけなすことはできない民族です。」とも。なんか企業不祥事の時と同じような展開が見えてくるようです。 「私利私欲ではなく企業のために頑張った人は誰も悪くない」のと同じで「日本のために頑張った人は誰も悪くない」のです。 「じゃあ、その経営陣によって被害をこうむった株主や従業員はどうなるんだ?」との視点に欠けているのと同じで「じゃあ、それで死んでいった300万人はどうなるんだ?」 「沖縄戦で死んでいった民間人は、アメリカ軍を恨めというのか?その前に、頭を下げなきゃならない日本人がいるだろ!」というのが私の考え方です。 つまり、日本は自分ではできない判断を戦勝国にしてもらい、更にそれを利用して全てをA級戦犯のせいにしてしまったのです。 なのに、別な場での理屈では「戦勝国の勝手な裁判」と言う。主体性ゼロです。 岸井さんは「この問題、突き詰めると天皇制の維持にまで突き当たる」ことだそうです。 少なくとも、諸外国から見れば「ヒットラー、ムッソリーニ」とくれば、日本では天皇だと思うでしょう。 そこがわかっているから、A級戦犯止まりにしてくれたマッカーサーの進言を受け入れたのです。 昭和天皇はA級戦犯を合祀した時に、絶句したそうです。A級戦犯に対しては、そのように深い問題があったことを理解していたので、その後昭和天皇も現天皇も靖国へはいけないのだそうです。 最初に戻ると、靖国へ参拝することに毎回中韓から文句言われる筋合いは、今もないと思っています。 でも、そういう原因を作っているのは日本政府ですし、国民に対してすら先の戦争の総括をできないことが、いろんな問題を引き起こしている原因だということです。 A級戦犯を利用するだけ利用して、それに関して文句を言われると「戦勝国が勝手に裁いた」と開き直る日本。やっぱりどこかおかしいでしょう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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