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カテゴリ:日本の生活(イベント、季節)
イギリスのエリザベス女王の夫、エディンバラ公フィリップ殿下がが亡くなられたとの報道がありました。99歳だったそうです。
私がその存在を意識したのはもう20年以上も前のことでした。恐らくその名前は聞いたか知っていたかとは思いますが、とくには意識してはいませんでした。当時、ヨーロッパに滞在していた時に「私の旦那はフィリップの会の一人です。」と聞いたことがありました。 「はあ?フィリップの会?何それ?」というのが私の最初の印象でした。その旦那を持つ女性とは、当時のオランダの電電公社みたいな会社、要するにオランダのNTTの副社長をしていたバリバリのキャリアウーマンの女性でした。 恐らく当時私より10歳か20歳近く以上は優に年上だったと思いますが、なぜかアジアからの若輩の私をかわいがる仲の良い「女性の友達」でした。 女性の友達と言っても、見るからに勇猛で「超フェミニスト」の人でした。その時に「フェミニスト」という言葉の本当の意味を知ったと思います。それまでは「女性に優しい男性」をフェミニストというのだとばかり思っていたのです。 彼女は当時、日本のテレビ討論会などで居並ぶ男性陣に嚙みついていた元法政大学教授の田嶋陽子先生のような方でした。田嶋先生の舌鋒の鋭さはテレビでも有名でしたが、そのオランダ人の女性ビジネスウーマンもそれに負けないくらい、男性中心社会を痛烈に批判していました。 本気になったときは怖いのなんのって。居並ぶ男性陣エリートらも震え上がるほどでした。恐らく当時のその方から見たら、極東から来た年下の私なんて突っ込むほどの相手でもないのか、かなり優しく接してくれました。 とあるパーティで彼女の旦那さんと会った時に、その旦那さん本人が笑いながら「はい、私はフィリップの会のメンバーです」というではないですか。どういう意味か? 当時(2000年よりも前)はさすがのヨーロッパでも、ビジネスウーマンとしてバリバリ働く妻の「縁の下の力持ち」的男性は少数派でした。 要するに「ヨーロッパの大企業で要職に就いた女性を陰ながら支える男性」の会が「フィリップの会」だったのです。もちろん、フィリップの会の奥様達は有名大企業の幹部ばかりでした。つまり内助の功を発揮する旦那さんの会だったのです。 当然、その私の友人(女性キャリアウーマン)の旦那さんも立派な仕事を持ったビジネスマンでしたが、一般的には奥さんの知名度よりは知られてはいない人たちだったのです。 私は何人かの「フィリップの会」の男性たちに会いましたが、それは皆立派な仕事を持っていました。でも、それぞれの国における知名度では圧倒的に奥さんの方が有名だったのです。 私はこの「フィリップの会」という名称に感心しました。ヨーロッパでは最高位とも言えるエリザベス女王の旦那さんですから、どんなに立派だろうが、仕事ができようが、「女王の旦那さん」と言われるしかないのです。 フィリップの会メンバーの男性陣も、私のような経営の専門家からすれば素晴らしいキャリアの方々なんですが、やはりどこの国にとっても知名度ではほぼすべて「奥さんの方が有名」な方ばかりでした。 フィリップの会の面々は、家庭内はわかりませんが少なくとも外面的には「奥さんを全面的に尊重し、自分は陰で応援する」というタイプの方ばかりでした。そういう意味では、エジンバラ公フィリップス殿下はまさにそのような方だったのだろうと思います。 フィリップの会の面々は、そういうことを全て受け入れ、むしろ楽しんでいるような人ばかりだったという印象があります。 でも、そもそも「フィリップの会」ができたという経緯そのものが、亡くなられたフィリップ殿下が常に身を引き、エリザベス女王を引き立てていたからに他ならないと思います。太陽と月、陽と陰ではないかもしれませんが、陰にいた存在感としては抜群だったのがフィリップ殿下だったのではないでしょうか? 私には、表で輝く女性たちよりも、陰ひなたで支えるフィリップの会の面々の方が強く印象に残りました。 敢えて言えば、日本よりもモンゴルの方が「フィリップの会」が成立しそうな気がします。それだけ社会で活躍する有名な女性が多いということなんですが。 ご冥福をお祈りします。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2021.04.11 20:37:24
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