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カテゴリ:日本の生活(イベント、季節)
パリ五輪体操女子代表で主将の宮田さんが、飲酒、喫煙をしたとのことで五輪代表を辞退したとの報道があった。19歳の大学生である。処分か辞退かは大きな問題ではない。
ネットには賛否両論が追いきれないほどたくさんある。主なものは、法律は法律で守るべきもので、特にナショナルトレーニングセンター横は許されない、など。反対側は、確かに未成年者の飲酒は法律違反だが、罪と罰が釣り合わない、いくらなんでも重すぎる、というもの。 各論それぞれなるほどと思え、どちらが正しいなどとは軽々には言えないが、各意見を読んでいて気になることがあった。それは、内輪話と周りを気にしての話では、やっぱり違うんだ!ということ。言い換えれば、日本人の本音と建前みたいなものだろう。 私はX(旧ツイッター)はやらないが、自由になんでも言い合える空間だと思っていたが、ネットニュースに転載されるような人たちはやり自分に制限をかけているのだろう。 宮田さんは19歳の大学生である。これを読んだ時「俺はこの年齢のときは酒もたばこもやっていたぞ!」と素直に思った。そう思った人は多いだろう。しかしながら、Xとはそんな心に思ったことを素直に書いていい場所ではないのだ。特にコメンテーターや先生などやっている人たちには。 若い世代はいざ知らず、今の50代以上で19歳の年齢の大学生を経験した男性のほとんどが、少なくとも酒かたばこのどちらかはやったことはあろう。新歓コンパやクラスの飲み会など私の経験ではほぼ全員と言っていい。今では私を含めほとんどの同級生は喫煙しなくなったので、今の時代感覚とはかなり違う。 なので対象を50代以上と言っている。宮田さんの辞退については大学や体操協会に加え、有識者と呼ばれる人たちがコメントを寄せているが誰一人として「実は私もやってました」とは決して言わない。協会幹部?バリバリの体育会のあの時代の新入生歓迎会で酒を飲まないわけがない。 例えば橋下弁護士。いつもは何事にもわかりやすい評論をズバッとしてくれるので人気だ。子育て支援の話では自分の家族の話をするほどオープンである。彼は早稲田大学卒業とあるが、新入生のころ、高田馬場辺りで飲んだことないと言うのだろうか? 誤解しないでいただきたいのだが、私はここで有識者らを批判する気は全くない。弁護士はテレビやXでは制限速度40キロの道路を時速60キロで走ったことがあるとは言えない。評論家諸氏も今回の問題で、私たちの頃はみんな飲んでたけど今は時代が違うからなあ、などとは言えないのである。 要するに、自分の経験談が仕事に悪影響はないか、素直に思ったことを述べて自分に不利益にならないかを意識しないといけない空間だということだ。こうまとめると、当たり前過ぎてなんか違う。 例えば話題が、大学生のクラブ活動はどうあるべきか?みたいな一般論なら、出演者は誰もが自分の経験談を気楽に話すだろう。しかし、飲酒の話となると自分が19歳だった時の話は一切せず、法律か罪と罰の話だけなので議論が薄っぺらで血が通っていないのだ。大人は全員19歳を経験しているのに。 今回の件でもう一つ感じたこと。それは罪と罰に関してである。要するに19歳の喫煙とオリンピック辞退との比較である。辞退と処分は違うとの声もあるが、19歳の少女のオリンピック辞退の背景すら察せられない情けない大人の意見は相手にしない。 目の前に迫ったオリンピック辞退なんて、我々凡人が想像できるはずもない。幼い頃から全てを投げうって家族と一緒に目指してきたものが、一瞬で失われるのである。 比べられるものではないが、凡人なりに多少なりとも感じられるシーンを考えた。オリンピックのスポンサー企業の幹部や元高級官僚で組織委員に天下りしているような人たちを想像して欲しい。彼らは子供の頃から塾などに通い一生懸命に勉強して、いい大学に合格したのだろう。 そしていよいよ就職だ。親にも子にも、いい役所や立派な大企業に入ることが今までのゴールとも言える。優秀な彼らには第一希望先から内定が出た。官僚希望なら財務省か、民間企業なら三菱商事あたりか。どちらにしても家族は喜び、友達にも鼻高々だ。新社会人としての新居も手配済みだ。 4月1月の入社式まであと1週間と迫った3月下旬に1本の電話がかかってきた。見ると、就職先からなので電話をとる。 「内定取り消しです」との声。 理由を聞くと「あなたは19歳の時にお酒飲みましたね。それは法律違反なのです。」と。 それを言われた時の感覚が想像できれば、彼女の痛みの100分の1くらいは理解できるかもしれない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2024.07.25 17:47:02
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