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カテゴリ:品川区
![]() 東急池上線沿線の大型商店街としては,戸越銀座が有名ですが,荏原中延も商店街が集まっており,サンモールえばら商店街,なかのぶスキップロード(中延商店街),昭和通り商店街があります。何度かこれら商店街を散歩していますが,通りの店舗に気を取られてしまい,線路沿いに呑み屋街があったことなどついぞ知りませんでした。今回もまた,「吉田類の酒場放浪記」に導かれて荏原中延の酒場を訪ねることにしたのでした。 ![]() ![]() ![]() ところが6時を回っても肝心のお店はシャッターが閉まったままです。かなり古びた建物でご主人もご高齢のようでしたから不定休で営業しているか,それともまた出遅れてしまったかと思いながらも未練があるためしばらく時間を潰すことにします。この呑み屋街も雰囲気がいいですし,中にはちょっと気の利いた酒場もあるかもしれません。と結局お邪魔したのはお目当ての店のお向かいにある「大衆酒場 栄」です。大衆酒場ということだけで選択しました。店内はガラス張りで見通せるので大方の印象は店に入らずともわかるのでしたが,散策した結果,ここがもっともお手頃に呑めそうな雰囲気だったのでした。カウンターメインのお店で,店内はきれいで新しくさほどそそられる要素はないのですが,ちょっと立ち寄るにはよさそうです。店の夫婦も働き盛りといった世代で,店も始めてそうは経っていないようです。お客さんはまだ1名だけ,荏原中延位に都心から近い町ではむしろ呑み屋という商売は難しいのかもしれません。職場を出てすぐそばというには企業もあまりなさそうですし,帰宅して最寄で一杯というには近すぎる微妙な場所に思われます。カウンターで独り呑むご高齢の方は地元のご隠居さんといったご様子です。こうした客がどうしてもメインになってしまうのでしょうか。ぼくは独りそんなことをぼんやり考えながらサワーを口に運びながらも,気持ちはすでにお向かいの開店を待ちながらそわそわしているのでした。ああ,厚揚げ焼おいしかったです。 ![]() ![]() ![]() ![]() 店を出ると,あな嬉や「もつ焼き 仲居」のシャッターが上がり,明かりも漏れていました。昭和35頃に開店した老舗もつ焼店です。カウンターだけの店内にはいつの間にやらやってきたのか,すでに3,4名のお客さんが入っています。その後もぽつりぽつりと客が入り,店を出るころにはほぼ全席が塞がっていたのでした。店の印象を一言で言うと,老舗酒場というのとはちょっと違って,むしろボロ酒場というほうがぴったりくる感じです。もちろんぼくにとってはボロ=不快ということにはならないことを念のため申し添えます。厨房のスペースがやたらと広いL字のカウンターのみのお店で,さまざまな物が雑然と放置されていて,これさえ整理すればもう4,5人は入れそうです。厨房も導線の妨げになるかのように乱雑で散らかっています。そういう雰囲気が好きな方であればきっと楽しめますし,ダメな方はあえて行くことは避けた方がよいかもしれません。小さなやかんで出される燗酒は燗の域を超えてアルコールが飛んでしまうほどの熱々で,もつ焼も特別どうということがない。それでも人が集まるのは旨いとか安いといった明快な理由とは違った,場の雰囲気というものの魅力がそうさせているのではないでしょうか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2014/02/05 08:39:29 AM
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