夜が待ち遠しい

　西大島で純喫茶2軒を大いに堪能した後、再び「ヤング」前を通過して大島駅を目指します。新大橋通りの沿道は大島駅通り共和会という商店街になっていて、その1本裏手の大島中央銀座商店会とを行ったり来たりしながらののんびり散歩です。もっともスタスタ歩こうにも足元が雪に取られて歩くのも嫌がおうにもよちよち歩きとなってしまいます。大通りに面した前者より後者は庶民的な構えの店も多く、こんな天候にもかかわらずやっていた渋いパン屋さんでお土産を購入します。立飲み屋さんもありました。当然まだやっていない「ゑびす」のすぐそばの「亀戸餃子」の大島店は間もなく開店なのでしょうか、開店準備でてんてこまいの様子です。本店とは違ってごくありふれた今どきの町の中華料理店なので、通過。やがて普段であれば活気のありそうな大島中の橋商店街に到着。楽しそうな新大橋通りの北側は後にして、かなりしょぼくれた雰囲気の南側を歩くことにします。なかなか味わいのある食堂もありますが、この日は休み。







　それではとお邪魔したのはなかなか枯れた佇まいの「めん処 なが井」です。ガラスのサッシ扉の安普請な店構えですが、よくよく見れば実は案外新しいお店なのかもしれません。カウンターと窮屈に詰め込まれた2人掛けテーブル席があります。これから先、まだまだ呑むつもりなので、肴には中華料理店のつまみの定番、焼餃子とします。おばちゃんからサービスのシナチクと一緒にスーパーの餃子に付いてくるような醤油とお酢とラー油が一緒になった小袋を渡されました。もしや出来合いの餃子を温めただけなのかと不安がよぎりますが、ちゃんと手作りのおいしい餃子で一安心。こんな天候なのに自転車で兄さんばかりでなくおばちゃんまでもがやって来ます。田舎の人はどこへ行くにも自家用車で歩くことをしないと言いますが、都心の人にもとにかく近い遠いはおかまいなし、天候さえ無視して自転車を乗り回す方が案外いるものですが、自分で怪我するのはともかく他人を巻き込まないでもらいたいものです。そんなことはまあどうでもいいのですが。ちょっと呑んでまったりした気分になったので商店街を散策する気力がなくなってしまい、店を出るとすぐに新宿線に乗り込み、瑞江駅に向かったのでした。







　瑞江駅ではまず喫茶店に立ち寄ったことはすでに報告済み。続いて駅の反対側を散策していたら早くも開店している居酒屋さんがありました。はっきりと店名を確認しませんでしたが、恐らくは「五合半」というお店です。すでに先客あり、競輪だか競馬中継を観戦しながらのらりくらりと時間を潰しているようです。まあわれわれも競輪だか競馬を眺めぬだけでだらだらとだらしない一日を送っていることには変わりありませんけど。ビルの1階にあるお店で、早くも赤提灯が灯っているのが雪景色に生えます。店内は奥に細長く伸びていて、一見すると案外ちゃんとした居酒屋さん風でありますが、異色なのは大量に揃えられたマンガ本。仮に独りでここを訪れていたら、この圧倒的なマンボ本に読み耽ってしまい、この先は行動不可ということにもなりかねなかったやもしれません。平日の昼間は定食屋風の営業をしていて、近隣のサラリーマンなんかが食後に一服しながらこのマンガ本を眺めていたりする様子が目に浮かんできます。ご主人が大のマンガ好きなのももちろんあるのでしょう、そのラインナップにはちょっとしたこだわりが感じられます。時間潰しにはちょうどよいお店でした。

　夕方になるまでまだまだ時間があります。次は船堀駅を目指しますが、一杯引っ掛けるのにちょうどいい居酒屋はあるのでしょうか。