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カテゴリ:足立区
東武の大師前駅は、近頃ちょくちょく登場しているのでこの辺りの地理やら交通やら名所については、特に触れることはしません。と最初に宣言してしまうと途端に文章が書けなくなってしまうのだから、敢えてそんな事は言わないでおけばいいのに、消去するのも面倒だし、もったいない気もするので極力発言に背かぬよう続けたいと思います。さて、別に年を越したからといって、近くの大師様をお参りしに来たのではありません。大体これはまだ昨年の出来事なのだから初詣のはずもありません。以前から気に掛かっていた古い焼肉店がこの界隈で評判の安くて旨い店のようで、開店前には列をなすという噂なのでちょっと早めに来てみたのでした。実際にはちょっとではなくかなり早く到着したので呑める酒場を探すことにします。
まあ、ここなら確実に呑めるけれど混んでるのはどうも気乗りしないなあと、「伊勢末酒店」の前を一度横目で素通りしてみたら、どうやら空いてるみたいです。だったら入らぬ法はない。いそいそ店内に入ると相当お齢を召したお婆さんが女将さんを相手に茶飲みならぬ酒呑み話の真っ最中であります。ビールの大瓶をゆっくりじっくりと舐めるようにして呑まれています。こういう余裕のある呑み方をいずれ身に着けたいとは思いますが、今のぼくにはまだまだ過ぎたる贅沢です。ここの写真はとにかく画になる。あまりにも素晴らしい佇まい、それも映画のセットみたいにわざわざ誂えたんじゃないかと思いたくなるほどに出来過ぎているので、どうも観賞用の店で実用的ではないような印象を受けるのです。ぽっちゃりとした女将さんの孫らしき坊主も、あまりにもハマりすぎていて演技をしているんじゃないかと思うほどです。そんな作り物めいた、演出の一部に巻き込まれたかのような己を振り切るために渋々と出してくれたサンマの煮付けを突きながら、ハイボールやらを呑むのです。ここでは呑んでいた方が現実を繋ぎ止めることになるような可笑しな気分になります。 そのそばにある立ち食いそば屋ー実際には椅子があるーの「こだわりの立喰いそば たからんちょ 大師店」でも呑むことができそうです。というかむしろ積極的に呑ませるための肴の品揃えがあります。この後、焼肉屋に行くので肴は控えめにしておくことにします。立ち食いそばの定番のおつまみ、かき揚げなんかを頼んではみるけれど摘むというよりは箸でつついてぐちゃぐちゃにするのを楽しんでしまうのです。八つ当たりみたいなものですけど、日本の酒場というか日本人の酒呑みはどうも酒には肴が付き物と思う風潮が強過ぎるようです。酒だけ呑んでいる人はアル中と決め付けるような節がある。ちなみにこれはこの店のことではなくて、むしろごく一部の居酒屋が最低一品おつまみを注文してくださいと強いることがあるという事実に対して異議を申し立てているまでです。でもまあこういう本来的に店のあり方がそば屋と分かっていて入って、蕎麦を必ず頼んでもらいたいと言われるなら断り切るだけの理屈はぼくにはないから唯々諾々と受け入れねばなりませんが、幸いにもそうした要求はありませんでした。そう、思い出しましたが、立ち食いそばマニアらしい若い人が来店してものすごい量の写真を撮っている現場に行き会うことになったのですが、お笑い好きのマスターとやけに意気投合してましたね。ここの名物らしき辛いそばを猛烈な勢いで掻き込んだせいか、汗をダラダラ垂らしながら応じているのが愉快でした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2017/01/13 08:30:05 AM
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