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カテゴリ:千葉県
松戸での仕事が早く終わったので、新京成線に乗ってどこかしら馴染みの薄い町に出向いてやろうと思い立ったわけです、急に思い立って。で、案外混み合う車内では席が埋まって立っての移動を余儀なくされるのでありまして、これが毎朝、毎晩と乗り付けている電車であるなら座れぬことに言われようのない怒りを感じるのはいかにも小者の考えであります。小者たるぼくは未練がましくもしつこく新京成電鉄への恨み事を唱えるのでありますが、この同じお金を払って座れる者と立たされる者がいる不公平に不満を訴える気持ちは多くの人に共通の感情であろうと思うのですが、それが時として過ちであることを感じることがあるものです。同僚と一緒だったのでそうした不満を分かち合いつつ、かと言ってオッサン同士で視線を交し合うのもどうかと思うので、車窓の風景を漫然と眺めることになるのですが、この漫然にというのが時として抜群の効果を発揮するのです。車窓を虱潰しに眺め倒すことなどどだい無理な話でありまして、薄めがちにぼんやりとした視野で世界を見遣った方が発見が多いものです。この日もみのり台駅を発車した頃の車窓に優良物件を発見したので、次の八柱駅にて下車。歩いてみのり台駅方面に歩き出したのです。
![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 漠然と思わぬでもなかったのです。「小料理 好月」、ここには随分と以前にお邪魔したことがあると。外観の印象深さに比して平凡な店内でありますが、十分な年季を感じさせてはくれます。この店内の平凡さがぼくの曖昧な記憶から過去を呼び起こすことはしてくれませんでした。ユーモラスな常連たちや女将さん、寡黙に店先で焼鳥を焼き続ける主人すらぼくの記憶に働きかけてはくれませんでした。でも帰宅後にメモを見ると6年前にお邪魔していました。店のご夫婦のお勧めするやきとりは東松山仕込。森林公園で15年間営業されていたそうです。その自慢のやきとりは、軒先で焼いているオヤジさんの元へ足を運んで直接注文するというスタイルです。これもなんだか聞いたこと、書いたことがあるような気がするなあ。とこう書いているといかにも前に行った酒場に入るのを残念がっているようだけれど、そんなことはちっともないのです。一目惚れするような酒場であれば何度だって入ってみたいものです。外観に見惚れるばかりでなく内面もしっかり見抜けるような立派な心の持ち主になりたいけれど、その道は相当険しいものとなりそうです。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() さて、もう一軒。すっかり場末チックな雰囲気を堪能したので次はちょっと位普通の店だって構いはしないと「なごみ処 青梅」にお邪魔したのでありました。二人掛けの席に腰を下ろして、短冊にある厚揚げ:350円とマカロニグラタン:550円が名物らしいから早速注文したのであります。厚揚げは自慢する程ではないけれど、グラタンはなかなか美味しい。グラタンなんてグラタンの素などなくとも簡単に作れるけれど、こうした店で食べるのはどういうものだかとても美味しく感じられるのです。それにしても、う~ん、店内もやっぱり外観を裏切らぬ平凡さでありますが、これはこれで居心地は悪くないのであります。カウンター席ではリクルートスーツ風のいでたちの若い娘さんが独りで呑んでいて、へえ時代も変わったなあなんてオッサンらしく感慨に耽ってみたりもしたのだけれど、それは誤りでしばらくしてから同世代のお兄さんが登場したりしてがっかりしたものです。 新京成線の沿線にはまだまだ知られざる酒場が潜んでいるぞという確信を持ちつつ、だらしなく足を伸ばして列車の揺れに身を任せながら、やはり列車は座って乗るのが楽だなあなんて当たり前の感想を抱くのでありました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2019/04/16 08:30:06 AM
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