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カテゴリ:台東区
JRの御徒町駅は、ここ数年ですっかり明るい町となり、多慶屋周辺の雑然としやさぐれた町並みは辛うじて留めてはいるけれど、そこからの無機質な単調な風景を歩くのが嫌で、長年懸案としているお店にも行かぬままに時が経過してしまいました。日本で2番目に古い商店街を名乗る佐竹商店街の人通りも疎らでシャッターを下ろしっぱなしとする店舗も見られるけれど、利便性の良さもあってか今でも現役の店が勝っているのは嬉しいことです。以前は良くこの商店街を歩いたものです。しかし、この商店街を目当てに訪れていたわけではありません。実にささやかな理由ですが、この近くのおかず横丁の「いわた」というお店の大学芋を真の目当てにして立ち寄っていたのであります。その大学芋屋も店をやめてしまい、後継ぎも家業を継ぐのを嫌ったのかその絶品大学芋も幻となり果てたかに思っていたのですが、どうやら川越に店を移転して再オープンしたとも風の噂に聞きますが、果たして当時の味わいを留めておられるのか気にはなるものの不安が勝って未だに行けず仕舞いとなっています。
されど、佐竹商店街にもずっと気になるお店があります。「甘味・軽食 白根屋」がそこなのですが、その存在はずっと認知していて、土曜日も営業しているので意向という決意さえ固まればそれこそいつだって行けてしまうという気楽さがこれまで足を遠ざけていました。しかし、そんな気持ちではいつまで経っても行けるはずがない。思い立ったら万難排して出向くべきなのです。そして例のカレーライスを口にすべきなのです。昔の甘味処そのものを体現したような店内も素敵ではありますが、そのリラックスできる環境以上にカレーライスが気になるのであります。今、リラックスと書きましたが実は四人掛け卓席は、身体の小さな昔の人仕様となっていて少しく窮屈なのですが、長居するつもりはないのだからそれもまた良しなのです。店のおばちゃんが仕切りに大きな卓を勧めてくれるけれど丁重に辞退します。さて運ばれてきたカレーライスは期待に違わぬ見事に鮮明な色彩を放っています。こうしたカレーライスにはソースが良く合います。たまにブルドッグなんかの中濃ソースが置かれている場合がありますが、ドロッにドロッを重ねる事をぼくは好みません。ここはやはりウスターソースが良いと思うのです。ドロッにサラッが混じって実に良い塩梅です。しかしまあ中濃もお絵描きできたりしてそれはそれで楽しいのですけどね。次にこういう鮮やかなカレーライスを食べるのはいつになるだろうと大切に頂きましたが、実はその翌週にさらに色鮮やかな逸品に遭遇することになるのでした。さて、帰りに商店街の福引ができるとレシートを受け取りますが、ここでおばちゃんからまさかの有難いサービスを頂けました。お陰でお土産ができました。 続いてお邪魔するは、「大村庵」でありました。普通といえばそうかもしれないけれと、その時のぼくにはとても懐かしさを感じさせてくれる佇まいに思えたのです。飾り気のない店内もとても爽快で気持ちが良いのです。蕎麦屋っていうのは、蕎麦を食うにしろ食わぬにしろ清涼感があるのが好ましいと思うのです。と書くと蕎麦を食っておらぬように終えるかもしれぬけれど、ちゃんと食べたのです。まあそばそのものの味はまあこんなのかという程度であるけれどそれで十分なのです。ここは古臭いタイプの店だけれど、酒の肴もそれなりに揃い呑みに使うにも適していそうです。たけれどもう店仕舞したそうなお母さんを見るとそれも無粋に思われ、ついアッサリと席を立つことになるのです。でもこの位のちょっと渋いくらいの店が居心地いいんですね。軽い肴でちょいと呑んで、軽く食事して引き上げる。実際、そういう振る舞いのできるのが粋というものなのでしょうが、どうやらそれを実践するにはまだぼくは幼すぎるみたいです。コチラには串カツなどの簡単な品も実にちゃんとしているのだからそれも仕方ないことなのです。ここもまたおばちゃんがとても優しいのです。さて、独り黙々と漫画に読み耽りつつカレーライスを食べるおっちゃんの皿を覗く見るとそれは有り触れた茶色のルー式カレーのようでした。 いやあ、どういうものか「コーヒー 長谷川」の存在はすっかり見逃していました。特にどうということもない雑居ビルの二階の世間から少しだけ身を引いたような控えめな姿勢が良いではないですか。店内もオーソドックスに過不足ない構えで申し分がないのです。いっそのこと、世間の喫茶のどこかしこもがこんなふうなら喫茶巡りに時間や予算を費やさずとも満足できるのだろうけど、なんて思っているのは情熱が衰えたと誤解を招きかねぬので止しておくことにします。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2019/05/16 08:30:10 AM
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