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カテゴリ:家呑み
この頃は、話の取っ掛かりとするためにお決まりのように青空文庫をチェックします。書きたいことがあっても何となく見てしまいます。ぼくは案外、思っていたよりも文学好きなのかもしれないなあ。こうしたクリッピングによる読書は、オーソドックスな読書方法(ここでは書物の冒頭から最終頁まで律儀に辿る読み方を意図しています)というのは、物語の呪縛に囚われてしまい、つい先へ先へと意識が向かいがちで、文字そのものと戯れる余裕を見失いがちです。特定の単語が含まれるセンテンスに集中すると物語を読み取ることに重点を置いた読み方では見落としてしまう何ものかが思い掛けなくも面白く思えてくることもあるのです。
里村欣三『放浪の宿』 この寺院と斜かいになった十字路の角は、ロシヤ人の酒場(バア)だった。酒場と云ってもそれは、馬糞よりも下等な馭者や、もっとそれよりもひどい下層労働者達が、未製のカルバスや生胡瓜を噛って、安酒を呷ったり、牛の臓腑を煮出したスープを啜って飲み食いする劣等な飲食店であった。 里村欣三って実は全く知らない作家だったのですが、プロレタリア文学の作家だそうです。まあ、このたった2つのセンテンスを読むだけでもそれはうかがい知れます。これを読んでまず思ったのが、最下層民たちでもカルパスや胡瓜なんかで安酒を呑めるものなのだなあといった、至極素朴なものでした。でもそれだとぼくは最下層民なんだろうか。だってねえ、ぼくだって毎晩ほぼ似たような肴で安酒を呑んでるんだから。でも、ぼくは普通に稼いでいて平均的な所得は得ているはずだからもしかすると日本国民は未だにかなりの割合が最下層民ということなのかもしれません。 しかも、 「そうか。そこの新聞紙をめくって見ろよ。胡瓜と黒パンがあらあな」 とか、 「黒パンに、生胡瓜か。見っともない真似はよせよ! まさかにどぶ鼠じゃあんめえし……」 といった会話文を読むと黒パンと胡瓜が貧しさの象徴のように書かれているけれど、これってどっちもぼくは好物なんですよねえ。ということで今回はきゅうりレシピを4品。 ![]() きゅうりとあさりのレンジ蒸し 【材料】 きゅうり(まだらに皮を剥く/乱切り) 1本/アサリ 200g/酒 大さじ3/顆粒だし 小さじ1/塩 適宜 【作り方】 1. 耐熱皿にきゅうり、アサリ、酒、顆粒だしを入れて混ぜ、電子レンジで600W7分加熱する。冷めたら塩をふる。 きゅうりに火を通すということに昔のぼくは忌避感を抱いていました。煮たり、炒めたり、色んな調理法のレシピがあって試してもみたけれど、今のところ忌避感はなくなったものの積極的にまた食べたいと感じた料理も存在しないのでした。これまたそうした料理の一品に連なることになりました。 ![]() 山形流冷やしタヌキそば 【材料】 そば(茹でる/冷水で洗う)・きゅうり(千切り)・揚げ玉・白ごま・そばつゆ 適宜 【作り方】 1. 皿にそばを盛って天かす、白ごま、きゅうりをのせる。そばつゆをかける。 ぼくがどうしても好きになれないマンガ家に柳沢きみおがいます。この人の絵を見ているとサブいぼが出そうになるのです。でもそれは実はこの絵に他に類例のないオリジナルな証なのかもしれません(『原宿ファッション物語』(原題『SEWING』)だけは例外的に好きでした)。その作家の手になる『大市民日記』で紹介されていたという山形風の冷やしタヌキそばでありますが、これってホントに山形の食べ方なのかね。まあ、当たり前に美味しいけどね。 ![]() 棒棒鶏(バンバンジー) 【材料】 鶏肉(胸) 1枚/生姜(叩き潰す) 1片/長ねぎ(青い部分) 1本分/紹興酒 大さじ1/きゅうり(3等分/千切り) 2本/【ごまだれ(混ぜる)】練りごま 50g/醤油・砂糖 大さじ2/酢 大さじ1/長ねぎ(みじん切り) 大さじ2/にんにく 小さじ2/生姜 小さじ2/ラー油 適宜 【作り方】 1. 鍋に湯、長ねぎ、生姜、紹興酒を沸かして鶏肉を入れ、火を止めて蓋をし、30分置く。鶏肉を取り出して裂く。 2. 皿にきゅうりを盛って鶏肉をのせ、【ごまだれ】をかける。 棒棒鶏にはきゅうりが必須であります。たまにきゅうりなしの茹で鶏だけのものが出されたりしますが、いかにも物足りません。色んなレシピがありますが,まだまだ美味しく作れそうです。といってもそうしょっちゅうは作んないんですけど。 ![]() 砕黄瓜 【材料】 きゅうり(包丁の背で叩く) 2本/にんにく・生姜 適宜/【調味料】ごま油・醤油・塩 適宜 【作り方】 1. 全ての材料を和える。 台湾の調理法らしいのですが、特段代わり映えしないですね。とりあえずネットで見つけたまんま作ってみましたが、酢を加えたくなります。あとごま油をラー油に変えたくなるかな。まあ、実際のところきゅうりはこういう単純な食べ方が美味しいのかもしれません。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2024/05/25 08:30:09 AM
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