テーマ:詩&物語の或る風景(1046)
カテゴリ:詩歌・名文
ふるさと銀河線 軌道春秋 (双葉文庫) [ 高田郁 ]の現代小説の中に寺山修二の『幸福が遠すぎたら』という詩が出てきた。
唐代の詩人于武陵(うぶりょう)の詩「勧酒」(かんしゅ)を訳した、井伏鱒二の妙訳にインスパイアされたという。 調べたら、唐代の詩人于武陵(うぶりょう)の元の詩も、井伏鱒二の訳もよかった。 ■勧 酒(于武陵) 酒をすすむ 勧君金屈巵 君に勧すすむ 金屈卮きんくつし 満酌不須辞 満酌まんしゃく 辞じするを須もちいず 花発多風雨 花はな発ひらけば 風雨ふうう多おおし 人生足別離 人生じんせい 別離べつり足たる 和訳(直訳) 君に この金色の大きな杯を勧める なみなみと注いだこの酒 遠慮はしないでくれ 花が咲くと 雨が降ったり風が吹いたりするものだ 人生に 別離はつきものだよ (註)・金屈巵=把手(とって)がついた黄金の大型の杯。 ・満酌=杯になみなみと酒をつぐこと。 ・不須辞=辞退する必要はない。 ・足=多い。 ■『勧 酒』訳:井伏 鱒二 コノサカヅキヲ受ケテクレ ドウゾナミナミツガシテオクレ ハナニアラシノタトヘモアルゾ 「サヨナラ」ダケガ人生ダ ■『幸福が遠すぎたら』 (寺山修司) さよならだけが 人生ならば また来る春は 何だろう はるかなはるかな 地の果てに 咲いている 野の百合 何だろう さよならだけが 人生ならば めぐり会う日は 何だろう やさしいやさしい 夕焼と ふたりの愛は 何だろう さよならだけが 人生ならば 建てた我が家 なんだろう さみしいさみしい 平原に ともす灯りは 何だろう さよならだけが 人生ならば 人生なんか いりません そのまた■パロディ■で ■さよならだけが人生か?■というのがあった。 ( ̄m ̄*) にほんブログ村 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2017.10.20 00:14:19
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