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小太郎の左腕 [物語] 時は戦国 鉄砲が比較的盛んな戸沢家は、隣接する児玉家と領地争いを行っている 両家には、林半右衛門と花房喜兵衛という侍大将がおり、覇権を争っている 半右衛門は、戦の総大将戸沢図書の窮地を救うため、ひとり囮として敵陣に突き進み、満身創痍となり、逃亡を図った先で要蔵という地元の猟師に助けられる 要蔵の孫・小太郎が鉄砲に興味があることを知り、半右衛門は近々開かれる鉄砲の腕自慢大会に招待するのだった 祖父・要蔵の拒絶を押し切り鉄砲大会に参加した小太郎だったが、成績はさっぱりだった 一計を案じた半右衛門は、小太郎に当時珍品だった左構えの種子島を手渡す それを手にした小太郎は光り輝き、遥か彼方の的を射抜くのだった 大会後、半右衛門は、要蔵から、要蔵・小太郎が鉄砲集団「雑賀」の一族であること、小太郎を戦から遠ざけるため逃避行を続けていることを聞く 小太郎のともすると軟弱さとも言えるような底抜けの優しさを知った半右衛門は、それでもいつか小太郎と戦場に並び立つことを夢想する そんな時、児玉家の攻撃が再開し、暗愚な主・利高は援軍もなく、籠城戦に打って出る、いや 出ないのか? [観想的なもの] 「のぼうの城」「忍びの国」の和田竜 これまでのが割と史実をもとにしたものだったのに対し、今作は、戦国時代を舞台にした時代小説 話のプロットは極めてシンプルで、鉄砲の天才・小太郎が登場し、でもすぐには活躍せず、主人公(半右衛門)がピンチになると、颯爽と現れ、ピンチを救う でも、そのことで小太郎争奪戦が起こり、結局小太郎は去っていく 主人公が小太郎ではなく、狂言回しの半右衛門で、その時代の武士らしい、潔い男として表現されており、その誠実故に起きる葛藤を楽しむようになっている 小太郎の左腕は、反則級にまで高く、戦国時代に、現代の最新のライフルを持って登場したすないぱぁといったところ 相手が視認できるかどうかという距離から百発百中で殺し放題では、やはり物語としては使いづらい設定だろう 最後に、半右衛門が、自らのプライドを取り戻すために、小太郎の左腕に挑むところなどは、「のぼうの城」に通じる「命より大切な物のために意地を張る」てなテーマだったり、忍者が出てきたりで、今までの作品からもエッセンスが取りこまれてる感じ 「のぼう」→「忍び」→「小太郎」とくるにくれ、徐々にスケールダウンしている気がして残念。 ま、それだけ「のぼうの城」がよかったってことなんだけど。 次回はもっとよい素材に出会えることを切に願う お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010年05月02日 11時59分22秒
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