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大手不動産二社 恒大と碧桂園の債務不履行が出現した中国経済の基底を探る日本の対中国工作機械受注2023年7月は前年同月比36%減の177億円
Exploring the foundations of the Chinese economy 2023年8月17日中国不動産大手、中国恒大集団は、米ニューヨークの裁判所に外国企業の破産手続きを調整する連邦破産法15条の適用を申請した。中国経済(GDP)の四分の一を占める中国の不動産バブル崩壊すれば経済に大きな影響を及ぼす。中国の大手不動産開発会社「碧桂園(カントリー・ガーデン、広東省仏山市)」は、発行したドル建て社債2本(総額2,250万ドル)の保有者に対して、2023年8月7日が期限であった利払いを履行できなかった。30日間の猶予までに支払いができなければ、デフォルト(支払い不能)となる。こうした状況下、中国経済は雇用創出の元となる経済成長率が大幅に低下している。2015年以前は7%以上成長していた中国経済は、2016年以降6%台に、コロナ災害が始まった2020年以降は年平均4%台の成長にとどまっている。習近平の中国政府は今年「5%前後」の成長を目指している。 大手不動産二社 恒大と碧桂園の債務不履行が出現した中国経済の基底を探る 大手不動産二社 恒大と碧桂園の債務不履行が出現した中国経済の基底を探る 中国不動産大手の中国恒大集団の社屋 大手不動産二社 恒大と碧桂園の債務不履行が出現した中国経済の基底を探る 中国の大手不動産開発会社の碧桂園(カントリー・ガーデン) 大手不動産二社 恒大と碧桂園の債務不履行が出現した中国経済の基底を探る 香港証券取引所のトレーディング・ロビー。碧桂園の債権が暴落。 大手不動産二社 恒大と碧桂園の債務不履行が出現した中国経済の基底を探る 2008年度ノーベル経済学賞受賞のポール・ロビン・クルーグマン (本みだし) 大手不動産二社 恒大と碧桂園の債務不履行が出現した中国経済の基底を探る (副みだし) 日本の対中国工作機械受注2023年7月は前年同月比36%減の177億円 (ほんぶん-その2-) (リード 二段組) 2023年8月17日中国不動産大手、中国恒大集団は、米ニューヨークの裁判所に外国企業の破産手続きを調整する連邦破産法15条の適用を申請した。中国経済(GDP)の四分の一を占める中国の不動産バブル崩壊すれば経済に大きな影響を及ぼす。中国の大手不動産開発会社「碧桂園(カントリー・ガーデン、広東省仏山市)」は、発行したドル建て社債2本(総額2,250万ドル)の保有者に対して、2023年8月7日が期限であった利払いを履行できなかった。30日間の猶予までに支払いができなければ、デフォルト(支払い不能)となる。こうした状況下、中国経済は雇用創出の元となる経済成長率が大幅に低下している。2015年以前は7%以上成長していた中国経済は、2016年以降6%台に、コロナ災害が始まった2020年以降は年平均4%台の成長にとどまっている。習近平の中国政府は今年「5%前後」の成長を目指している。 (ほんぶん-その2-) 日本の対中国工作機械受注2023年7月は前年同月比36%減の177億円 日本工作機械工業会が2023年8月23日発表した2023年7月の工作機械受注額(確報値)は、中国向けが前年同月比36%減の177億円。7カ月連続で前年実績を下回り、2020年8月以来3年ぶりの180億円割れした。電気自動車(EV)関連投資が一回りし、景気減速が影響したようだ。7月の工作機械受注額の全体は20%減の1,143億円。内訳は内需が24%減の393億円、外需が17%減の749億円。北米向けは5%減の245億円。欧州は3%減の191億円、アジア向けは31%減の291億円。同日、日本工作機械工業会稲葉会長(ファナック会長)は「中国は当初予測以上に停滞感が感じられる」「中国の減速がかなり鮮明で、急速な回復は当面見込みが薄い」と述べている。中国向けの業種別は自動車が前年同月比52%減、電気・精密や一般機械も振るわない。中国では不動産不況により金融機関の貸し渋りがある。 試験対策が面倒なため日本公務員受験者が減少 中国は過去に比べて若者が減っているなか、経済成長の勢いが衰えたことが、若年失業を増やす結果となった。景気は雇用に反映する。雇用が活発なときには公務員希望者が減る。日本の公務員試験受験者の数が減少しているなか、なりたい仕事の一位が地方公務員、次いで国家公務員である。必要悪ともいえる公務員試験に挑み突破するためには大学二年次から系統だった試験対策をすることになる。これが面倒だから日本の新卒者たちの公務員受験者が減っている。 中国の若年失業率上昇は中国経済の構造的に由来 2023年8月現在の日本の雇用が活発であることの対局の現象でもある。中国の雇用は悪化している。中国国務院の李克強前首相は2023年3月5日、中国両会(全国人民代表大会と中国人民政治協商会議)の政府業務報告で「昨年、都市部の失業率が大幅に増加した。雇用の圧迫に対応して雇用安定と雇用拡大のための政策的支援を強化する」と発言した。3月18日の中国国家統計局の発表では、中国の若年失業率は1月の17.3%から3月には19.6%に上昇した。中国の若年失業率は韓国(7.1%)より3倍近く高い。新型コロナウイルス感染症の大流行により中国主要都市の封鎖が行われていた昨年7月の19.9%以来、過去2番目に高い数値だ。中国の若年失業率の上昇は中国経済の構造的から発生している。 中国の若者の就職率は5割 2023年秋、中国の大学卒業者は1,158万人で過去最多になる。1998年には18~22才の人口のうち大学に通っているのは10人に1人だった。2016年には4倍に急増した。学歴水準が高くなるにつれ、若者の雇用への希望は学歴に対応したものへと変化する。中国の産業構造は依然として1次産業と2次産業が主体である。日本でも1970年代以降に大学進学率が急騰して現在に至っているが、大学卒業者の大手企業への就職は1970年当時のに高等学校卒業者のそれよりも遥かに困難になっている。現在の日本の大学進学率は6割ほどに留まっている。日本の場合には大学に進んでもそれに見合う知識や能力を獲得しているのか疑わしい。大学の4年間日本人の人生や就職への猶予期間、いわゆるモラトリアムになっている。中国の若者の就職率の裏返しの失業率は事実上5割だという報道がある。 2023中国国家公務員試験受検者2,590,000人、採用は37,000人、競争率は70倍 中国の産業構造と大学卒業者の就業比率と産業構造は関係深い。2021年現在、中国経済で1次産業と2次産業が占める割合は45.1%。韓国は37.5%である。若者たちが就職を希望する「百度」や「アリババ」そして「騰訊(テンセント)」など先端情報技術企業の雇用数は多くはない。国有の金融企業などサービス系の雇用口も同じだ。大学生は大学院へ進んでもう一度モラトリアムとしての猶予期間を設定し、あるいは安定していて確実な職業としての公務員を目指す。韓国に同じ現象が発生していた。韓国では公務員受験塾の邨(村)ができていて、ソウル大学卒業生が最下級の公務員試験に合格したと喜びの声を上げた。警察官の試験への合格である。これは冗談ともとれるが半分は本気のようだ。2022年に行われた中国の大学院入学試験の「考研」の受験生は、大学卒業者1,076万人に対して474万人で、その割合は44%である。また「2023中国国家公務員」試験を2,590,000人が受検した。採用人数は37,000人で、競争率は70倍であった。 中国労働市場の構造的矛盾 求人側と求職側の求めにおけるミスマッチ 中国の若年農民工の構造的な失業問題が浮揚している。農村から都会に出て就職する若い出稼ぎする青年農民工は就職が難しい。2023年6月11日、中国社会科学院の財経戦略研究院は経済と雇用の問題フォーラムの席上で、同院の人口・労働経済研究所の張車偉所長は、過去2年余りの新型コロナの発生が中国経済に与えた影響は大きく、これによって中国は新たに就職氷河期に突入したと述べる。同氏は「中国の雇用情勢が過去最も冷え込んだのは、国有企業改革に伴う大規模なリストラが実施された1999年から2000年にかけてだった。当時の問題は雇用の総量であり、有効な就業機会をいかに作り出すかが課題となっていた。しかし現在の問題は構造的矛盾にあり、単純な方法では解決できない」とする。張所長の見方は次のようでもある。直近の労働市場の求人数を求職数で割った「求人倍率」は2倍に近づいており、2022年初め時点の1.8倍を上回っている。計算上は1人の求職者に対して2人分の求人があるにもかかわらず、若者の失業率が過去最悪を記録した背景には、求人側と求職側のニーズがマッチせず、実際の雇用につながっていない状況がある。労働力市場の構造的矛盾とは、このミスマッチにほかならない。 職への要求が高い大学卒業者と青年農民工の失業の実態 高まった大学進学率を背景にして中国の大学新卒者は学歴に見合う仕事や賃金への要求が高いために、これに見合う就職先が見つからなければ待機という方法を選択する。求人側は技術の高度化あるいは次世代の第三次産業に対応する知識と能力を求める傾向が強いものの、その需要の総量と新卒大学生の総量が釣り合わない状況にある。 中国の戸籍制度は特別であり、都市に戸籍を持たない農民工は職業選択で不利な状態に置かれている。農村部での賃金は月に二万円、年にして二四万円の収入の者が六億人いると伝えられる状況にある。農村部では食えない青年農民工が持つ技能はせいぜい一般的な工場労働者のそれである。そうした工場労働者への雇用が減少したことが青年農民工の失業を生み出した。 若年労働者の失業率5割は習近平体制崩壊への危機を孕(はら)む 2023年3月5日、中国国務院の李克強前首相の中国両会(全国人民代表大会と中国人民政治協商会議)における政府業務報告が次だ。「昨年、都市部の失業率が大幅に増加した。雇用の圧迫に対応して雇用安定と雇用拡大のための政策的支援を強化する」。職務を引き継いだ李強首相は、国務院会議で若年失業問題を解決することを表明した。若年失業は社会の安定を脅かすので問題解決を繰り返し強調するが状況は変わらない。 中国国家統計局発表の中国の若年失業率は1月の17.3%から3月には19.6%に上昇した。中国の若年失業率は韓国の7.1%の3倍ほど。新型コロナウイルス感染症の大流行により中国主要都市の封鎖が行われていた2022年7月の19.9%以来、過去2番目に高い。若年失業率が高まっているのは中国の経済構造に根ざしている。経済成長率と雇用とはつながっており、前に述べたとおり中国の経済成長率は低下の一途にある。若年労働者の就職難、つまり5割を超えるとも伝えられる失業率が中国の社会を混乱させ、習近平体制崩壊への危機を孕(はら)む。 碧桂園(カントリー・ガーデン)のデフォルト不安 中国の大手不動産開発会社「碧桂園(カントリー・ガーデン、広東省仏山市)」は、発行したドル建て総額2,250万ドルの社債2本の保有者に対して、2023年8月7日が期限であった利払いを履行できなかった。30日間の猶予までに支払いができなければ、デフォルト(支払い不能)となる。同社は13日の香港証券取引所への届け出で、同社と関連会社が発行した人民元建て社債11本の取引を14日から停止することを発表したことから、デフォルト懸念が一層高まることになった。同社は9月2日に償還期限を迎える人民元建て社債の支払期限を延長し、3年間にわたって分割で支払う債務再編交渉案を一部の債券保有者に打診たとブルームバーグが報じた。同社は10日、2023年1~6月期の最終利益が450億~550億元(約9,000億~約1兆1,000億円)の赤字見通しを発表したことから経営不安が高まっていた。前年同期には19億1,000万元の黒字を記録していた。2023年1~6月期の同社の販売実績は成約額が前年同期比マイナス30.4%。業界平均のマイナス5.3%と比べて非常に悪かった。 デフォルトに陥った恒大グループの4倍のプロジェクトを抱える碧桂園の中折れ 碧桂園の2022年末時点の資産総額は1兆7,400億元、負債額は1兆4,300億元で、恒大グループの負債額1兆8,000億元に匹敵する。1年以内に返済義務が発生する負債は937億800万元、2023年7月末時点で年内に返済期限を迎える債務は約200億元に達している。これに対し、現金同等資産の残高は1,475億5,000万元だ。同社は実質的デフォルトに陥った恒大グループの4倍にも上るプロジェクトを抱えていることから、デフォルトに陥れば恒大グループよりも影響は大きい。中国経済における不動産投資額は2023年1月から6月に前年同期比マイナス7.9%と悪化したが、7月はさらに下落幅が拡大したようだ。不動産不況を起点とする経済の悪化は、物価の下落を生んでおり、7月の消費者物価指数は前年比でマイナス0.3%と下落に転じた。物価と不動産価格の下落が同時に進行するダブル・デフレの様相。バブル後の日本経済が辿った長期低迷が思い浮かぶ。 碧桂園はデフォルトへ突き進む 同じ現象が他社に波及し不動産不況となり中国経済は長期低迷する 中国政府は、大手不動産開発会社「碧桂園(カントリー・ガーデン)」が債務拡大を伴ってビジネスを急拡大させ、その過程で巨額の利益を上げるなかで不動産価格を急騰させたことを問題視している。このため恒大グループと同様に碧桂園を直接支援することに政府は慎重な姿勢である。碧桂園は社債を保有する投資家との間で債務再編交渉を繰り返して行く過程でデフォルトへ突き進むとみられている。碧桂園と同じ現象が同業他社にも広がると不動産市場の調整圧力を再び高めることになり、経済の長期低迷にもつながりかねない。というよりもかなり危険な状況にある。 ノーベル経済学賞受賞者ポール・クルーグマンの中国経済への見立て ノーベル経済学賞受賞者ポール・クルーグマンの中国経済に対する見方が話題になっている。クルーグマンは既に中国経済は減速に向かっていると考えている。そのクルーグマンは、中国と90年代に経済が衰退した日本との類似点を上げる。人口動態に強い逆風が吹いていることから、中国の将来はさらに悪化する可能性が高いと指摘する。2023年に入ってからの期待外れな中国の経済パフォーマンスを、日本の経済力が衰退し始めた90年代の経済的苦境と比較している。クルーグマンは2023年7月25日に公開されたニューヨーク・タイムズへの寄稿文で本意がどうであるかは不明だが次のように述べる。中国は最近失速しているように見えることから、将来的に日本のような道を歩むのではないかと言う人もいる。それに対する私の答えは、おそらくそうはならない。中国はもっと悪くなるだろう。 碧桂園の社債価格は額面1ドル当たり10セントを下回る著しいディストレス水準 2023年7月14日の香港株式市場では、投資判断の引き下げを受け、碧桂園の株価が一時19.4%急落し、他の不動産開発銘柄も値下がりした。碧桂園は13日の香港証券取引所への届け出で、同社と関連会社が発行したオンショア社債11本の取引を14日から停止すると公表した。モルガン・スタンレーは碧桂園の投資判断を「イコールウエート」から「アンダーウエート」に引き下げた。同社の株価は先週末11日、初めて1香港ドルを下回る水準で取引を終えた。碧桂園の満期を迎える社債の償還期限は9月2日で、元本残高は39億元(約780億円)。碧桂園が満期迎える社債の期限延長を提案、3年間分割支払い-関係者。モルガン・スタンレーのアナリスト、スティーブン・チャン氏は「低位の都市へのエクスポージャーが大きいことを前提とすれば、流動性の困難からの回復には数年を要すると考えられる」とリポートした。中国の景気が減速する中で、不動産不況がこれをさらに加速させる。巨額の債務を抱え実質的デフォルトに陥った同業の中国恒大集団の4倍というプロジェクト数を抱える碧桂園が破綻すると中国経済への影響は大きい。碧桂園の社債価格は、額面1ドル当たり10セントを下回る著しいディストレス水準にある。 (本文-その7-1-) 中国の金融危機は遅延して何年後かに起ると森永卓郎氏 経済アナリストの森永卓郎氏は恒大ショック後の2023年8月に次のように述べる。 中国で赤字を出しているのは、恒大グループだけではない。他の大手企業もけっこう赤字を出している。不動産業界全体の問題だ。リーマンショックの時も、最初は何十兆円という小さい数字を言っていたが、どんどん膨れていった。今回も同じように金融に火の手が広がっていくのではないか。リーマンショックをどうやって乗り切ったか。世界中の中央銀行がバンバン金融緩和をして、お金をジャブジャブ出して、バブルを起こして世界経済を救った。今回はアメリカもヨーロッパもインフレで金融緩和できる状況ではない。一度落ち始めると、コントロールは非常に難しいと思う。日本は1990年にバブルが崩壊して、7年後に金融危機が起こった。今回もすぐ何かが起きるのではなく、何年かかけてヤバいことが起こると思う。中国は数字がまともに出てこない国だから、どれくらいの年数がかかるか、本当に分からない。 若者の失業率の発表を止めた中国の若者失業率の実態は50% 中国当局では、16~24歳を「若者」と定義し、2018年から「若者の失業率」のデータを公表していた。しかし2023年8月15日に「若者の失業率」の公表を一時的に取り止めると発表。若者の失業率は、今年4月に初めて2割を超え、その後も増加。6月には21.3%となっていた。これに対し森永氏は次のように述べる。一説には50%を超えているのではないか、と言われている。中国の若者の就職戦線に異常発生。2023年7月17日、発表の中国の16歳から24歳までは若者は5人に1人が失業している。中国の2023年の大学や大学院などの卒業生は1,100万人と過去最多。 三億円のマンションが17万円の家賃となる中国の住宅投機事情 中国の住宅着工面積は2020年末をピークに右肩下がりに落ちている。中国の不動産低迷の要因として次のことが指摘される。コロナ災害への対応で金融緩和がされたことによって大量の資金が不動産市場に流れ込み価格が高騰したことに対して、過熱を抑えるため中国政府が不動産企業への融資や住宅ローンへの規制に踏み切ったことによるとされる。その結果、不動産大手の恒大グループが経営危機となるなど、デフォルト(債務不履行)に陥る企業が相次いだ。また住宅の購入層である30代前半の人口減少が見込まれることで住宅需要もピークを超えたことにもよる。中国では住宅価格の高騰が続いてきた大都市で中古マンションを売りに出す動きが広がっている。値上がり期待で一億円あるいは三億円したマンションを月17万円の家賃で貸し出すという事例がある中国の住宅事情であった。値上がり期待が萎むとマンションの投げ売りが発生する。2023年8月現在、米国も日本もマンション価格はこれまでの最高額の状態にあり、中国も似ていた。 GDPの4分の1の規模の中国の不動産市場 中国の不動産専門のシンクタンクは、北京や上海、深センなど13の大都市で売りに出されている中古物件は2023年6月の時点で年初と比べて25%増加していると分析しています。住宅需要の増加が見込めなくなる中で資産用に保有していた高級物件の価格が下落する懸念が広がっているためだ。不動産は関連産業も含めると中国のGDPの4分の1ほどを占めると試算されるので景気に大きく作用する。北京の隣の都市、河北省廊坊の建築資材としての鉄骨や鉄板など鋼材を取引き業者の廃業が目立つ。河北省廊坊にある鋼材市場の業者は、以前は多い時で400社だったのが100社に減っている。不動産不況は雇用の受け皿となってきた業界や中小企業に影響する。 日本のバブル崩壊後の物価下落に類似する中国のデフレ懸念 日本の土地神話崩壊が中国の不動産不況と重なってみえる。日本では1980年代、バブル経済の絶頂期にあり、東京の商業地の地価は1987年は前年比74.9%の上昇した。1988年は36.7%の上昇。1990年に大蔵省が土地取引の融資の伸びを抑える総量規制を打ち出すと、融資していた金融機関が巨額の不良債権を抱えるという金融危機が発生。これが日本経済を長く低迷させる要因となった。日本では同時に物価も低迷しデフレ経済に陥った。 中国の消費者物価の推移はどうか。中国の2023年6月の消費者物価の伸び率は前の年の同じ月と比べて0%と横ばい。数年前と比べて右肩下がりの傾向にある。日本のバブル崩壊後の物価の推移に似ていることから、中国もデフレに陥る懸念が強い。中国経済は成長率が下がっていても毎年4%台は成長率下にあって賃金や物価はそれに連動して上昇していくという見方がある。 中国はこの10年で出産数と結婚数は半分に 中国の人口減少は経済規模の拡大にはマイナス要因となる。日本では人口の伸びの停滞そして現象が雇用、不動産、物価に影響した。中国の人口は2022年に61年ぶりに減少に転じた。日本で人口が戦後初めて減少に転じたのは2005年、2011年以降に人口減少が続いている。中国では結婚や出生数が激減している。1年間に生まれた人口1,000人当たりの子どもの数や結婚したカップルの数は、およそ10年で半分になっている。65歳以上の高齢者は2億人を超えて高齢化が進行中。富む前に老いることを防げたい中国社会であるが、経済成長が頂点を迎える前に老いが激しく進行しそうだ。未富先老、つまり成長がピークを迎える前に高齢化が進むことを防がなくてはいけないと叫ばれていたが、心配が的中している。 2023年7月、中国の消費者物価消費者物価は前年同月比0.3%下落 将来への不安のための節約志向となり消費が低迷する。高額な不動産は売れない、買わない、ことによってお金の動きが鈍る。物価は上がらない、デフレに陥るといった負の循環がの可能性が指摘される。中国の景気後退とデフレの動きを拾う。中国の2023年7月の消費者物価は前年同月に比べて、0.3%下落した。マイナスに陥ったのは、2021年2月以来、25年5カ月ぶり。輸入の落ち込みが重なる。中国が発表した2023年7月の貿易統計では、輸入は前年比12.4%減少。輸入の減少は国内需要の低迷の反映。この動きの中に若年労働者を含むの失業の増大がある。 中国公式発表失業者は600万人、ニートを加えると2,200万人、失業率は46.5%が算出される 繰り返すが中国の若者の失業率は2023年6月に21.3%。政府発表の統計だから実態はこれより多いことになる。公式発表の数字には就職を諦めた若者が含まれていないこちにもよる。中国の国家統計局は2023年8月15日、16歳から24歳若者の失業率の発表を突如として停止した。2023年7月24日配信のブルームバーグは、16歳から24歳の若者は9,600万人が都会に住んでいるとしている。そのうち求職しているのは3,300万人。残りの3分の2はのうち4,800万人は大学など学校へ通っている。残る1,600万人は、ニートやプロフェッショナル・チルドレンとして仕事をしていない。公式発表の失業者は600万人だが、ニートたちを失業者に加えると、2,200万人となり真の失業率は46.5%に上る。学生たちの中には、金融や情報技術などを専攻している人もいるが、大学側は学生たちに「就職先を選り好みするな」と助言する。 中国企業はバブルが弾ける前から借り入れを減らし家計は貯蓄に向かっていた 中国経済の先行きへの見方はいろいろある。野村総研のチーフ・エコノミスト、リチャード・クー氏は「中国の成長鈍化は自分自身が招いたもので、30年前の日本とは異なる」と指摘。「中国企業はバブルが弾ける前から借り入れを減らし、家計は貯蓄に向かっていた」「ゼロコロナ政策で地方自治体は資金を使い果たし、景気刺激策を講じる余裕がない」「日本と違って、中国は米国と対決している」「日本は2009年まで人口が減少していなかったが、中国はバブル崩壊と同じ22年から減少した」と述べる。 「中国は次の日本ではない もっと悪くなる」ポール・クルーグマン氏 ノーベル賞学者であるポール・クルーグマン氏も、2023年7月25日付のニューヨーク・タイムズで「中国は日本のようになる」という見方に否定的なコラムを書いた。同氏は「人口減少の問題が指摘されるが、日本は94年以来、現在までに1人当たり実質国内総生産(GDP)が45%も上昇した。中国は日本のような社会の結束を保てるだろうか。かつての日本より、はるかに高い若者の失業率に注目すべきだ。中国は次の日本ではない。おそらく、もっと悪くなる」と指摘した。 中国経済停滞の根本的原因は習近平政権のゼロコロナ政策 ピーターソン国際経済研究所のアダム・ポーゼン会長は、中国経済の失速をゼロコロナ政策との関連で分析した論文を2023年8月2日配信の米国の外交誌であるフォーリン・アフェアーズに掲載した。「中国経済の奇跡の終焉」のタイトルで、中国経済が停滞している根本的原因を「習近平政権によるゼロコロナ政策と、その突然の終了にある」と分析。国民は一連のコロナ対応を見て、共産党と政府不信に陥り、ひたすら貯蓄に励むようになった。それが景気後退を招いた、とする。 恒大集団(こうだいしゅうだん) 恒大集団(こうだいしゅうだん、中国語: 恒大集团、英語: Evergrande Group、エバーグランデ)は、中華人民共和国広東省深圳市に本拠を置く(登記上の本籍地はケイマン諸島)不動産開発会社。1996年に許家印が設立。創業者の許家印は 中国政府による住宅制度改革によって不動産需要が伸びることをにらんで、1996年38歳の時に不動産会社「恒大」を設立した。許の目論見どおり会社は飛躍的に成長を遂げ、2009年に香港証券取引所に「中国恒大」として上場し、会社の時価総額は72億200万ドルまで上昇した。恒大集団の事業手法は、中国都市部の不動産価格急騰を背景に、自社の株式や不動産を担保にした多額の借入金と投資家からの資金を元に土地を素早く取得することで、購入した不動産価格の値上がりによってバランスシート上の資産額を増大させ、加えて開発による売却益により収益力が増大することで、会社の時価総額を大きくさせることで信用を勝ち取ることにあった。 碧桂園(へきけいえん、カントリーガーデン) 碧桂園(へきけいえん 英: Country Garden、カントリーガーデン)は、中華人民共和国の不動産開発企業。デベロッパー。広東省佛山市順徳区に本社を置く。2020年代に入ると中国政府は、不動産事業への引き締めを強化したほか、ゼロコロナ政策を取ったことにより生産・消費の停滞。2021年には恒大集団を始めとした中国国内大手の不動産デベロッパーが経営危機にさらされた。そのような企業が出る中でも、碧桂園は流動性危機による痛手をさほど受けていない質の高い業者と見られていたが、2022年以降に経営環境が急速に悪化。2023年8月7日、碧桂園もドル建て債の利払い(総額2250万ドル)が履行できなくなり債務不履行の危機に直面した。 ポール・ロビン・クルーグマン ポール・ロビン・クルーグマン(Paul Robin Krugman、1953年2月28日 - )は、アメリカの経済学者、コラムニスト。ニューヨーク市立大学大学院センター(CUNY)教授。2008年度ノーベル経済学賞受賞。 ├ ├大手不動産二社 恒大と碧桂園の債務不履行が出現した中国経済の基底を探る ├2023年7月の工作機械受注(jmtba.or.jp) ├ ├ 2023-08-29-exploring-the-foundations-of-the-chinese-economy- お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023年08月29日 13時37分03秒
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