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カテゴリ:国内ミステリ
十二編の短編が収められ、エピローグにて長編となる仕掛けの施された作品である。 それぞれの短編が手紙や文書のみによって構成されている。 一つ一つが面白いが特に、「葬送歌」はそれまでの真剣な展開が最後に一転して喜劇に早替わりする様が抜群に愉快で、出生届や死亡届等の公文書のみで構成されるも色濃い物語が浮かび上がる「赤い手」は発想の勝利、「桃」は作中作が実に効果的に高慢な美徳を暴き、十三通の手紙により構成される「玉の輿」では内十一通が実際に出版されている手紙の例文集からの引用という驚くべき手法が採られ、印象深い。 中でも「桃」は格別だ。 ここでは名を挙げないがそれ以外の作品も全て良く、質量共に優れた作品と言える。 幾つものミステリ的仕掛けが施されているが、ミステリの観点での白眉はやはりエピローグの「人質」だろう。 素晴らしいトリックが披露される。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021.01.08 05:27:21
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