「ナバホの国へ」 グレートジャーニー・人類5万キロの旅
関野吉晴 1998/04 小峰書店 双書 119p
★★★☆☆
何気なく「ナバホ」のキーワードで検索した一冊だったが、実にとてつもない本であった。著者は単にナバホの国を訪ねたのではなく、東アフリカで誕生した人類が、アジア、北アメリカを経由して南アメリカの南端にたどりつくまでの5万キロを旅しようとしていたのである。しかも、徒歩、カヤック、自転車など、自分の足と腕でたどろう、というのだが、とてつもない冒険家だ。
本業は医師でもあるようだが、よくそれだけの時間がとれるものだと思う。自転車といえば、冬季チベット高原6500キロを単独自転車横断した安東浩正の「チベットの白き道」を思い出したが、実は、関野吉晴は、モンゴルやチベットも旅をしていたのだった。
本書では、マヤの遺跡からナバホの国へ入り、カナダからアラスカへと旅を進めている。何が著者をして、これほどの旅へ駆り立てるのだろうか。途中、砂漠の中で人口的に地球環境をつくりだそうという「バイオスフィア2」という実験施設のレポートは面白い。また、あとがきになって分るのだが、写真家の星野道夫とも友人だったということだ。
カヤックでサックスマンに着いた翌日の夜、東京から電話が入りました。星野道夫君が8月8日にカムチャッカ半島のクリル湖畔でヒグマにおそわれ、亡くなったというのです。「まさか!」と思いました。だれよりもクマを知りつくしている彼が取材中にクマにおそわれ、死ぬなんてにわかには信じられないことでした。p116
本書は、「グレートジャーニー 人類5万キロの旅」として小学高学年~中学・高校生向けにシリーズ化されており、15巻のうちの第6巻。