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カテゴリ:環境心理学
その分、この人が語ると、まさに父親以上の威厳で、時代の証言者として、一字一句の曇りのない言葉で、淡々と戦争に対する警戒・批判をされている姿に打たれ、背筋が伸びる思いがする。読んでいて、声が聞こえる。長いことニュースキャスターを務めた方だし、その後、なんと30年間も参議院議員として活躍された。その声の質感、凛とした言葉のはしはしが、リアルに聞こえてくる。その声は青年に向けての「反戦」のメッセージを深く重く含んでいる。 ベトナム戦争下にあって、アメリカ中心のニュース・ソースに飽き足らず、ハノイへ取材にでかけ、その印象をニュース番組の中で率直に述べたことに対して、国からテレビ局に圧力がかかり、退職せざるを得なかった。その経緯が詳しく述べられている。 そして、さかのぼること著者が、大学生になったばかりで学徒出陣し、特攻隊にならざるをなかったこと。有為な青年たちが、なにもわからぬままに戦争の中で命を落していかざるを得なかったことに、深い悲しみ、苦しみを表明する。そして、若い世代へと話しかける。その声は、確実に届いていると、私は思う。しかし、それは、一部の人間だけが共鳴すればよいことではない。だれもが平和を愛する心を養う必要がある。戦争はいつの間にか準備されていく。 この本は2007年7月、ちょうど今から一年前にだされている。その頃ちょうど誕生した、戦後世代の最初の宰相である安部総理大臣の言説に深い危惧感を示している。2002年にだされた「特攻隊だった僕がいま若者に伝えたいこと」という著書があるこの著者にして、さらなる緊急アピール、という意味合いを持っていたのだろう。 いま現に、憲法を改正して、「戦争のできる国」にしようという動きが進んでいると、私は思っているわけですが、そうした中で、これも準備の一つだというようなことが起こっているかもしれません。しかし、それをやっている人も、戦争の準備だと思ってやっているのではないのです。全体としてそういう流れの中で、自分たちはこういうことをやるべきだと思って、権力を握っている側がやっているので、けっして戦争の準備だと思ってはいなくて、無意識にやっているんです。無意識というのは、そういう考えを持っているから、自然にその方向でやっているんだけれども、結果としてそうなるのです。p155 この「無意識にやっている」というところが怖い。日常生活のところどころで、実は自分の「無意識」が使われてしまっていることに、後から気付くことが往々にしてある。常に醒めているということは、無意識で過ごす時間を限りなく少なくし、つねにブッタの意識で生きることを意味する。 著者は今もジャーナリストだ。まさにジャーナリストとは職業や肩書ではなく、人間としての生きる姿勢そのものだ、と思い知らされる。当ブログも、なにはともあれ、「ジャーナル」という言葉を冠に頂いている。しかも、いくら「パジャマのままパソコンの前に座る、ブログ・ジャーナリスト」であったとしても、「ジャーナリスト」を自称する限り、この田英夫というあまりにも著名でありながらも真摯な志を保ちつづけられた大先達がおられることを誇りに思い、自らの生き方の範となすべきだと思う。 必読の書。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008.06.22 19:53:27
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