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カテゴリ:アンソロポロジー
<1>よりつづく 1973年の11月にエスリンはもう一人の長老を失った。アラン・ワッツだ。彼はエスリンがエスリンである前に、ビッグサー温泉のまさに最初のセミナーをやった人であり、それ以来ずっとそのでの魅力ある人物であった。ビッグサーを愛し、よく姿を現し、食堂で歓談し、あるいは浴場で海の方に向って立ち(深夜によくやっていた)禅宗の老師のような太鼓腹を突き出して、まっ裸でマントラを唱えていた。エスリンの運営やその政策についてはあまり関心を示さなかった。特別な大義名分を主張するわけでもなかったし学派もつくらなかった。正規の弟子をとるようなこともなかった。彼の弟子になりたいなどと言うものがあればビール瓶をその人に投げつけるのだった(その前に瓶が空っぽになっているのを確かめてから)。彼のグルジェフ批判は、導師についての彼の態度をよく表している。「ある人がやってきて彼の話を聞いて理解し立ち去っていく。ある人がやってきて彼の話を聞いて理解できずにそこに留まる」と。ワッツはエスリンのグロウス・センター的な、セラピー的な側面はいつも超然としていた。友人たちはもっとからだを大事にさせようとしたが、とくに飲酒を控えるように注意したが、彼はきかなかった。「アランは、飲んでいてもいなくても、いつもアランらしくしている」とデッィク・プライスは言っていた。彼はいつも自分らしく振る舞っていたのだが、ある晩、心臓発作でなくなってしまった。まだ58歳だった。p266 ワッツにはたくさんの著書があるようだが、邦訳は「タブーの書」、「心理療法 東と西」の二冊しかないようだ。もっとあれば読んでみたいが、どうしてもというなら、英語本にチャレンジもよいかもしれない。 なお、エスリンは「エサレン」として紹介されることが多かったが、前出の『プリーズ・タッチ』(邦訳は、拙訳『可能性をひらく---グループのなかの自己変革』ダイヤモンド社、1972)という本のなかで、ジェーン・ハワードは、それを「レスリング」と同じ発音だと指摘している。私はずっとそれに従っている。p336 訳者がこのようにポリシーを持って一貫した態度をとることに、なんの抵抗もないが、ただ当ブログでは、これまでの経緯の中で統一感を持たせるために、「エサレン」を使っていきたい。英語表記も、Eslen, Ecclemach, Excelen, Ensenなどと、さまざまあるらしいp17。もともとは、その地方に住んでいたネイティブ・アメリカンの部族の名前だ。正しくはネイティブたちに聞いてみなければならないが、それでもいずれが正しいとは断言できないだろう。 この本、ジャーナリストが1983年に書いた本だが、実に細かいところまで書いてあり、エスリンの字引き的要素を持っている。一冊常備しておきたい。この本の読み方はいろいろあるだろうが、私は、ひとつ思いついたことがある。 最近、 「本を読む本」の中に、「いまたったひとり無人島に流されることになって、もっていきたい本を十冊選べと言われたら、いったい何を選ぶだろうか」というテーマがあり、ずっと考えていた。 たったひとりで無人島に流されるなら、「食べられる野草」とか「星を見て方角や月日を知る法」とか、「独習・手旗信号」なんて本が必要になるのではないだろうか、と思っていた。しかし、「たったひとりで無人島に流される」状況は、たぶん近未来的にはやってこないと思われる。 むしろそのような条件ではなくて、「ワークを固める」方向の10冊を選んでみようと思った。ワークといきなり言っても思いつかないので、当ブログでの最近の話題、OshoのRR「ブラック・キモノ・カー」を日本に持ってくるプロジェクト、というものをシュミレーションしたらどうだろうか、と思うに至った。そしてその名は、RRのマスコットにちなんでプロジェクト名「スピリット・オブ・エクスタシー」(SOE)としてみた。 もしその「プロジェクトSOE」をスタートすることとして、それを推進するための10冊を選ぶこととなったら、まず私はこの「エスリンとアメリカの覚醒」をその中の一冊として選びたい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008.11.28 20:40:05
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