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地球人スピリット・ジャーナル1.0

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2009年4月1日

地球人スピリット
・ジャーナル2.0


へ引越しました。

2008.08.21
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テーマ:京都。(6067)
カテゴリ:アンソロポロジー

「西行」
白洲正子 1988/10 新潮社 単行本 254p  文庫本 1996/06 新潮社 314p
 Vol.2 No.0238 ★★★☆☆

 Oshoのロールスロイス → 吉田茂のロールスロイス → 白洲次郎のベントレー → 次郎と正子 → 白洲正子の世界・・・・、と無節操な図書館あそびをしているうちに、いつの間にか、白洲正子という存在が、実はただごとではないぞ、とようやく気づきはじめた。はずれにある図書館でさえ、彼女の名前で検索すると、30数冊がヒットする。中央にある図書館においては、なんと300冊をゆうに超える。

 全集や雑誌、あるいは、一度単行本ででたものがのちに文庫化したり、ということもあるからだろうが、つながりのつながり、ということで行きがかりで読み進めるには、ちょっとこちらの旅じたくができていない。彼女を読み進めるには、一度フンドシを締め直さないといけない。ちなみに、Wikipediaで検索すると、彼女についての紹介のなかに、こんな一節があった。

 
「1980年代から、古典美に憧れる中年婦人たちのカリスマ的存在となり、死後もなお人気は高く、再編集の著作が出されている。」

 なるほど、やっぱりそうであったか。目についた二・三の彼女が関連する本に目を通しただけの段階で、私が彼女を「
元祖・アンノン族」、あるいは「アンノン教・教祖」と失礼な表現をしていたことは、案外まったくハズレでもなかったかも知れない。「古典美に憧れる中年婦人たちのカリスマ的存在」とは言い得て妙。1980年代に古典美にあこがれだした中年婦人たちとは、まさに60年代に、ディスカバー・ジャパンで日本列島を闊歩した元アンノン族の進化形ではなかっただろうか。

 西行は能因の跡を慕って奥州へと旅行し、芭蕉は西行の風雅を追って「奥の細道」を書いた。歌枕ができて行く過程を、それは絵に描くように教えてくれる。そこには西行が歌った清水は流れていないが、周囲にはのびのびとした田園風景が開けており、芭蕉の句の情趣を心行くまで味わうことができる。p120

 西行についてはともかく、芭蕉についてならOshoもたびたび触れている。Oshoから始まったイメージつながり読書も、ここに来て、ひとつの円環をもって、原点に戻ることができるかもしれない。まさにオメガからアルファへと回帰することが、この書で可能になってくる。

 朽ちもせぬその名ばかりをとどめ置て
 枯野の薄形見にぞ見る
 と、西行は万感のおもいをこめて歌っている。藤原実方は「枕草子」にも度々現れる人気者の貴公子であったが、宮中で狼藉をはたらき、陸奥の国に左遷されて、憂悶のうちに亡くなった。(中略)
 私がはじめてその墓をおとずれたのは、おととし(昭和59年)の雪の日であった。名取から南へ、昔の奥州街道を下って行ったが、深い雪の中ではたして所在がわかるだろうかと気にかかった。 
p127

 彼女は、京都や吉野や熊野ばかりではなく、遠くさいはてのみちのくまで足を運んでいる。しかも、一度ならず、なんども同じ地に足を運んでいる。季節が夏であったり、雪の日であったりすることで、彼女がその地で受けた印象はまったく違うものになった。彼女の80余年の生涯のなかで、重ねた旅の歴史も多かったのだろうが、それにしても、その旅が許される人生というものも、決して多くはないだろう。
長女の牧山桂子が書いている。

 母親がいつも家にいて、学校から帰ればおかえりなさいと子供達を出迎えたり、家族揃って食卓を囲んだり、おべんとうを作ってくれたり。そんな母親を夢見ておりました。「白洲次郎・正子の食卓」p130 牧山桂子

 人それぞれにライフスタイルがあり、人それぞれの仕事があってみれば、家庭の在り方も、それこそ千差万別ではあるが、家庭人でありながら、なお、これだけの旅をし、数奇者、趣味人として生きることができた白洲正子という女性は、やはりあっぱれとしかいいようのないカリスマなのだろう。

 十数年前から----正確にいえば「明恵上人」を書いた頃から、私が暖めていた西行のイメージとは、これがまたとりとめのなにもので、近頃はやりのアイディンティティなるものを、どこに求めていいか皆目見当がつかなった。彼は空気のように自由で、無色透明な人物なのである。したがって、とらえどころがないばかりか、多くの謎に満ちている。p247「後記」

 学者でもなく小説家でもない。古美術愛好家やエッセイストなどという肩書でもなく、ひとりの旅人として旅をつづける彼女には、肩書や立場が代弁することができない、ひとりの人間が真摯にいきようとする自由人の姿をみる思いがする。






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Last updated  2008.08.21 13:43:15
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