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カテゴリ:アンソロジーなど
2000年から2008年までの間に「小説すばる」で掲載された短編作品12編のアンソロジー。いつでも読めると思って購入したけど1年以上たってから読了した。
●いちばんの発見は「川崎船(ジャツベ)」(熊谷達也)だった。戦後間もないころの東北が舞台で漁師の生きざまを書いた素朴で力強い作品。サスペンスでもないのにページをめくる手が止まらず読み応えのある作品だった。この作家さんは初読みだと思っていたが、「おやじエイジロックンロール」を読んだ記憶がよみがえってきたので初読みではないらしい。「おやじエイジロックンロール」は何となく奥田英朗の作品だったと勘違いしていたし、あまりにも「川崎船」とは作風が違いすぎ!ほかにも純文学方面にある熊谷達也作品を読んでみたいと思った。 ・「かみさまの娘」(桜木紫乃)●初読みだけどアンソロジーのトップに掲載されているので1年位前に読んだはずなので再読?確かに読んだことがあるような気もした。母と子の関係、男女関係、全体的な雰囲気が釧路的で桜木紫乃的なテースト。 ・「ゆがんだ子供」(道尾秀介)●不思議な短篇、もしかしたら2回目だけど読みなおして新たな発見あり? ・「ここが青山」(奥田英朗)●これははっきり記憶にある既読作品。「人間(じんかん)いたるところに青山(せいざん)あり」という読み間違えがちな言葉が絡んだ男が主夫になる話。雰囲気は覚えていて面白かった読後感も覚えていたのだけど・・・ストーリーもだけど「人間いたるところに・・・・」の意味もすっかり忘れてました。ま、読書ってそんなもんですかね? ・「じごくゆきっ」(桜庭一樹)●うーん、悪くわないけど趣味ではない ・「太陽のシール」(伊坂幸太郎)●伊坂ファンではあるけどこっちのほうに行ってしまうのは好みではないかなと思った。 ・「チヨ子」(宮部みゆき)●宮部ファンとしては肩透かし? ・「二人の名前」(石田衣良)●文学的かもしれないがあまり共感できる世界ではなかった ・「陽だまりの詩」(乙一)●乙一作品なので警戒して読んだけどAIの悲哀を感じる案外にヒューマンな作品だった。こんな作風もあるのかとちょっと意外だった。 ・「金鵄のもとに」(浅田次郎)●既読、自分の肉を食って一緒に日本に連れて帰ってくれと言われて戦友の肉を食らって生き延びた人の話だということは鮮明に覚えていた。再読して改めてそれぞれの複雑な心情があるのだなと思ったが、すべてを理解できて共感できるわけではない。 ・「しんちゃんの自転車」(荻原浩)●不思議だけどちょっと怖くて心が温まるお話。まあまあですね。 ・「約束」(村山由佳)●難病で死んでしまう親友と仲間、タイムマシン・・・「バックトゥザフューチャー」よりもむしろ「スタンドバイミー」を思い出すかも?
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Last updated
2019.11.17 18:18:05
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