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カテゴリ:医学書・医療分野の本
*「人を助けるとはどういうことか」「Helping」「支援学」
・相手(クライアント)のイニシアティブや自律性を尊重しつつ、相手がうまく問題解決できるプロセスを支えること ・せっかく同業者の知人に勧められてから興味をもって読みはじめた本なのだが、そもそも翻訳本というものを読むのが苦手なこともあって読むのに3か月もかかってしまった。かといって原書なら読めるというわけではなくて外国人特有の言い回しみたいなのが苦手なだけだ。・15年以上前に初めて読んだコンサルティングだったか医療面接だったかの本に、「答えは相談している本人の中にある」と書いてあったのが当時はあまり理解できなかったがずっと残っていて、今になってだいぶ共感できるようになってきている。そういう意味でその本は名著だったのかもしれない。著者が言う「プロセス・コンサルテーション」って同じことではないかなと思った。また、最近の医学教育や研修指導でも表現は違うが同じようなことが言われているのではないだろうかと感じた。
*著者のシャインさんが編み出した「プロセスコンサルテーション」について分かりやすく書かれた著作で、「社会的経済学」と「社会劇場」という見方から「支援」を人間関係のダイナミクスとしてとらえる考え方がベースらしい。 〇支援そのものが社会的通貨であり、適切な対応がなされなければ不均衡が生じる ●たとえば、「支援」という社会的通貨を支払うならば「感謝」なりなんなりの代価を受け取って収支が一致することを求められる、ということ。 ●正直なところ、同じ事象でもいろいろな見方があっていいと思うし面白いとは思うけど「社会的経済学」と「社会劇場」にはそんなには共感できないかな?相手もメンツをつぶさないっていうこと(フェイスワーク)を重視しているところは面白かった。日本人だけじゃないんだ、やはりそれは大切なことだと書かれていたことが新鮮だった。いくら正しいことでも、相手を言い負かしてぎゃふんと言わせるのは逆効果で支援にはならないと。 ・支援を求める人は、求めた時点で下位の立場に陥っているので、それを解消して対等な立場にあることから始める必要がある ・質問の種類いくつかあるが、「純粋な質問」から入ってまず相手を知ることが大切 ・「専門家」として、「医師」としてよりもまず初めは「プロセス・コンサルタント」の立場を身に着けることが重要 ・たとえば「マサチューセッツ通りはどちらですか」と聞かれたときや、息子に宿題を教えてくれないかと言われたときにその真の目的を知らないで答えだけを与えたのでは支援にならない ●癌末期の患者さんに「私はあとどれくらい生きられますか」と聞かれたときの同じではないかと思った。 ・ある人が読んで面白かったからと言って自分とっても面白いとは限らない。正直なところそんなには面白いと思えない本は当然ある。この本を勧めてくださったのは在宅医療専門クリニックの所長であり経営責任者でもある立場のK医師。読んだ人の立場やその時のその人の状況や問題意識によって面白いと感じるかどうかは変わるということだろうな。K医師はどこが気に入って勧めてくれたのか?おそらくリーダー、経営者の立場としてだったのかなと思う。
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Last updated
2021.03.27 20:56:43
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