日本文学史(著者:小西甚一|出版社:講談社学術文庫)
はっきり言って、何だかよく分からない。書かれたものをあつかっているのではなく、なぜそういうものが書かれたのか、という面に着目しているらしいことがかすかにわかっただけ。
しかし、それは著者が悪いのではない。この本の中で一番わかりやすいのはドナルド・キーンの解説なのだが、それを読んで分かったことは、これは、日本文学に関する知識を得ようとする者が読んでも理解できないのであって、日本文学史を講ずるぐらいの知識のある人にとっては斬新で印象深いものであるらしい、ということである。
昔のものを、現代仮名遣い、新字体に直して出版したものだが、「藝」は「芸」とは違う字だから、というのはわかるが、「臺」も「台」にしていないのはなぜだろう。