文鳥(著者:夏目漱石|出版社:新潮文庫)
漱石の「小品」と呼ばれる作品集。随筆あり短編小説あり。
「夢十夜」は、実際に見た夢もあるのだろうが、夢として創作されたものが多いのではないかと思う。
「思い出す事など」は、修善寺での大患が本人にとってはどうであったのか、どんなことを考えていたのかが書いてあるのだが、医師同士のドイツ語での「もうだめだろう」という内容の会話が聞こえていて、理解できていた、というのが印象に残った。
「変な音」「手紙」は随筆のような小説のような体裁だが、まとまりよく、さらりと読めながら、強い印象を残す。
漱石というのは、平易な文の名手であると思う。
ものの見方に漱石独特のものがあるが、それをきちんと表現することができる、というのがすごい。