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テーマ:時代小説・歴史小説(171)
カテゴリ:時代小説・歴史小説
人情裏長屋(著者:山本周五郎|出版社:新潮文庫) 長屋ものを中心とした短編集。 「おもかげ抄」 途中で、こういうことだなとはわかるが、こういう結末をつけるとは思わなかった。 「三年目」 「さぶ」のようでもあり、「柳橋物語」のようでもある。 長編になりそうな素材を短編に使っていてもったいない気がする。 「風流化物屋敷」 山本周五郎が好んで書く、世の汚れを知らない武士の話。 「人情裏長屋」 腕が立ち、善意の固まりの武士。 長屋の住人として生涯を終えるのかと思ったら、やはり武士は武士として生きるのだった。 そういうところが、山本周五郎らしい。 「泥棒と若殿」 泥棒と、蟄居状態の若殿の交流。 これも、最後には、自分に与えられた立場を全うするために居場所を変える。 自分のためではなく、人のために生きなくてはならないという話。 「長屋天一坊」 講談調の小説。家系にとりつかれた家主と長屋の住人の騒動を描くユーモア小説なのだが、あまり後味がよくない。ここまで悲惨な目に遭わなくても、と思う。 「ゆうれい貸屋」 過去の因縁も何もなくいきなり幽霊が出てくるのがすごい。理由付けなどいらないのだ。 ゆれいを貸す商売という、奇抜なアイディアなのだが、それが生かし切れていないのが残念。 なんだか尻切れトンボの終わり方だった。 「すぐに賃上げストなんか始めるわよ」(p247)というせりふには驚いた。 「雪の上の霜」 あれっ、これは「雨あがる」ではないか、と思ったら、その通り、姉妹編だった。 人一倍優れた能力を持ちながら、善良でありすぎるが故に立身できないというのが、山本周五郎なのだ。 「秋の駕籠」 「三年目」と同じく、男同士の心の絆の話。 この本の中では珍しくハッピーエンドだった。 「豹」 なぜこの小説がこれに収められているのか、と思うような現代小説。 女は怖い、という話。 「麦藁帽子」 これも現代小説。「青べか物語」風。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2005.04.01 21:13:30
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