|
カテゴリ:その他の読書録
おごそかな渇き(著者:山本周五郎|出版社:新潮文庫) 表題作は、新聞の日曜版に連載され、作者の死によって中断となった現代小説。 現代の聖書を書きたかったということで、宗教に関する話がいろいろ出てくる。 完結していたらどんな話になっていたのか興味はあるが、ほかの小説と同じようにおもしろかったかどうかはわからない。読者よりも作者中心の小説になったのではないだろうか。 男女の心の食い違いと落着を描く「将監さまの細みち」「鶴は帰りぬ」、武家ものの「蕭々十三年」「紅梅月毛」は、これぞ武家物という作。 絶望した人間と、希望をもたらす人間の話「あだこ」は新山千春でドラマ化したどうだろうと思った。 市川昆で映画化された「かあちゃん」、黒澤明が脚本を遺した「雨あがる」など、山本周五郎の短編は、ドラマ化しやすいものが多い。 「野分」も、人の心を思いやるとはどういうことかを描いた佳作。 めぐまれぬ境遇の中に、人間らしさを見いだす、いかにも山本周五郎らしい作品だ。 異色の作品「もののけ」は、内省する、という点で、近代的自我を持つ平安人の話だった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2005.04.01 21:28:52
コメント(0) | コメントを書く
[その他の読書録] カテゴリの最新記事
|
|