昨日の続き。
恋川春町の作。訳は水野稔。
邯鄲の夢の翻案で、江戸へ奉公の口を求めて目黒不動まで来た金兵衛が、粟餅屋で見た夢の話。
大店の家督を譲られ、栄華を極めたが、色里の女にだまされ、遊興を尽くした結果落ちぶれて、というところで目が覚める。
話の筋もさることながら、興味深いのは絵である。
おそらく風俗を描くことを主眼としたものであろう。
茶屋の女のいんちき唐言《からこと》や、絵のどの人物が誰なのか分かるように、袖に名前が一文字描いてあるのも面白い。
絵と文と一体になっているものだということがよく分かる。