50代女性、左上5、インレー下2次カリエス
ま、治療と称して歯を破壊する行為を漫然と繰り返しているのが歯科業界で、
迂闊に歯医者なんぞに通い続けるとろくなことにならないのが現状だ。
虫歯の原因すら分からず、予防だ、歯を削らないなどと言っても虚しい限りだ。
この症例もインレー下の2次カリエスは歯根側の深いところまで進んでおり、
もう一度インレー修復ができるかというと多分できない。
神経を取って被せ、ということになるのだが、そんなことが上手くいくか?というと甚だ心もとない。
次は抜歯になるのが10年後か20年後か、その時までに寿命が来るかというと、これも甚だ心もとないw
とりあえず神経は取らないで済む修復法というのはCRによる再建しかない。ここではCR充填のことをCR再建と称しているが、やっていることは充填ではないからだ。
隔壁も使わないし、どうやってCRで再建するのだろうと思われるかもしれないが、使用する器具といえば細めの探針だけだ。
では時系列でどうぞ
インレー合着用セメントは効いておらず、簡単に外れた。
内部は黒色物質FeS:硫化鉄で覆われている。FeSは硫酸鉛還元細菌の代謝産物であり、インレーと歯質の隙間にこの細菌が生息していたことを示している。
嫌気性細菌のこの細菌が棲むに適している環境では虫歯にはなりにくい。この細菌は酸産生菌ではなく、しかもFeSはイオン伝導を妨げるので虫歯になりにくいからだ。
これを僕は「虫歯の電気化学説」として提唱している。
虫歯の成因とは
1、歯質周囲のプロトンの存在(酸性環境)
2、歯質内外にプロトンを通り抜けさせるなんらかの起電力の存在
これだけだ。
細菌の存在はその本質ではない。
裏装セメントを除去すると虫歯が残っているが気にしない。α-TCPセメントで再結晶化により自然に再硬化する。理想的なセメントなのだ。
辺縁封鎖を確実にするために接着マージンの1mm幅だけは新鮮歯質を確保する。
3MIX+α-TCPセメント
1次CR
完成。ストリップス:隔壁は使っていない。これができないと全ての症例には対処できないはずだ。