5歳男子、左上D、歯肉息肉(歯肉ポリープ)
歯肉息肉とは歯髄の外来刺激対応形態で、虫歯等で露髄して細菌感染もせず壊死することもなく、少し腫れたような状態で長期に渡って何事もなく経過している。
顕微鏡レベルでは繊維化の進んだ組織で細菌もリンパ球等の免疫細胞も多い状態だ。
通常は細菌感染しているので、このまま充填することはできない。後で痛くなるので、神経を取るしかないと言われているが、そうでもない。
息肉はそれに直接麻酔して電気メスで切除し、3MIX+α-TCPセメントで直覆してCR充填しても特に問題なく治癒する。
実は歯肉息肉は充填スペースがあればそのまま直接覆罩して充填しても問題ない。
乳歯でも永久歯でも特に変わらない。
これは歯内療法にも応用出来る。壊死している冠部歯髄を除去し、生活している部分に直接覆髄するだけで、根部歯髄まで全部除去する必要はない。
歯髄というものは全部除去してしまう必要はない。生きている部分があれば残すことができる。
全部取ろうとするから予後はかえって悪くなってしまうのだ。
歯髄は最良の根管充填材という事を忘れてはならない。
歯髄息肉
除去後
3MIX+α-TCPセメントで直覆
漏洩がないように良く吟味したダイレクトボンディング法でCR充填する。
インレーは漏洩するので失敗する。