80代女性、上顎義歯
義歯は基本的にはお断りしているのだが、どうしても作って!と押しかけてくる人や、何十年も継続して管理中の方が歯が折れたとか言われると断るのが難しい。
このところ僕も高齢化により義歯を作る技工作業が辛くなってきたので、究極の手抜きの義歯の作製方法を研究している。基本的には口腔外での技工作業は極小で主に口腔内で直接作製する。
見かけは完全無視している。使える義歯か、作業時間を短くできるか、だけを考えている。
補強線は保険から外れて久しいので、それはなし。作るのが面倒な金属クラスプもなし。
ノンメタルデンチャーだ。材料は矯正用の急速硬化型の硬いレジンを使う。
とりあえずbefore/afterなんだが、残根は3MIX+α-TCPで根管処置+CRで根面処置をしている。
before
afterと言っても人工歯を口腔内で基礎床に直接レジンで並べてバイトを決めただけだ。
だけだと言ってもほとんどの歯科医師にはできないと思う。
歯科技工士ならできるかもしれないが口腔内では難しいかもしれない。咬合器上で作るわけではないのだから。
というか、歯科業界では診療室と技工室の作業が完全に分業化されているので、このような一貫作業はできない構造になっているのだ。
この段階で患者はとても気持ちがいい!と言っている。
たぶん口腔内で作るので噛み合わせのズレがなくフィット感が良いのだろう。
ノンクラスプというのも安定性が高い。
義歯は口腔外で作るという固定観念を捨てるべきだろうと思う。
僕も体力の温存ができるし、患者も満足。
win/winだ
この後は研磨修正して仕上げる。
次回はもう少し詳細が分かりやすい画像をアップ予定。
つづく