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カテゴリ:モンゴル経済・トゥグルグ
モンゴルからのニュースによると、3月に迫っている5億8千万ドルの開発銀行債の返済を目前に、ようやくIMFと本格的な交渉を始めるようです。
いくらモンゴル人らしい(無計画で、なんとかなるさという楽天的気質)とはいえ、お気楽すぎる行動です。 そもそも昨年9月にIMFと交渉に入ったわけですから、本来であれば昨年中には交渉は終わっていたはずです。ところがモンゴル側は、その後本格的な交渉に入る気配を見せていませんでした。 このブログでも何度かお伝えしているように「IMFはいいけど、厳しいこと言ってくる。せっかく当選した我々人民党が好き勝手できないのは嫌!」という気持ちがあり、「面倒なことを言わない中国からお金を引き出せるかも」と態度をあいまいにしてきたというのが実態でしょう。 恐らくダライラマのことなのか、最近の中国はアメリカや北朝鮮相手で忙しく簡単には決断できないのかはわかりませんが、全額簡単に調達できるという希望的観測は実現しないということなのでしょう。で、結局IMFと真面目に交渉することになったわけです。 その結果、今回モンゴル側が正式に交渉再開をお願いしたというわけです。では、その再開の場でいろんなことが決まるのか? 当然ですが、半年近くも放っておいて即決まるとは思えません。 記事によると、今回の会合ではどのIMFプログラムを実施する必要があるか、またモンゴル側で何を変える必要があるのかについてのガイダンスつまり指針とか手引きについて議論する予定である、とあります。 ガイダンスですから、これはまだ交渉の入り口みたいな内容ですね。 更には、モンゴルがスタンバイ・アレンジの対象に含まれるかどうかや、当初の融資額がいくらになるかなどがこの会議で明らかにされるだろうということです。貸付対象かどうかももちろんまだきまってはいないということです。 私の推測では、楽観的なモンゴル人側は「去年の9月にIMFに頼んでおいたから、今度会うときには大丈夫だって言ってくるだろう」と考えているのに対し、IMF側は「半年も先延ばしにしておいて、急に頼んできてもまだ最終的にできるかどうかなんて決まってないよ」という立場の違いがあるように見えます。 まあでも、最後はIMFがなんとかしてくれるでしょう。なので、結果的には大丈夫でしょうと言いたいのですが、そうでもないようなのです。 記事によると、昨年モンゴルの中央銀行の副総裁が「4億ドルの貸付がこのプログラムで調達でき、残りは他の投資相手と交渉している」と言っていたというのです。つまり、IMFとの交渉が上手くいったとしても、まだ1億8千万ドル必要なのです。 私が半月ほど前に「借金返済は大丈夫か?」とこのブログで書いたように、エルデネバト首相は相当な希望的観測で言っていただけってことです。 まだIMFとの交渉再開もしてないのに「IMFは頼めば間違いない」という自信と「最後は日本か中国が何とかしてくれる」という過大な依頼心によるものであったということです。 モンゴル人政治家の特徴は、「自己責任でできるだけのことは自分たちでやって、どうしてもだめなところだけを外部にお願いしよう」という感覚がないことです。 「自分たちはできるだけ無傷で済ませ、外部に頼られるものならできるだけ頼っちゃえ!」的な、プライドのなさが特徴です。 遊牧民気質とは本来は、なんでも自力でやる、他人に頼っていては草原では生きていけない、という強い自立心なんですけど、国家の政治家になってしまうとみーんな外部頼りになってしまうのです。 とにかく今月末のツァガンサル前には決着しないと、新年を迎えられません。あと2-3週間で解決できることを期待します。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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