亀有についてのネタもとうに尽きてしまったので、姑息にもネットでネタを仕入れようと眺めていたら、亀有と亀戸は別だということを記したものをいくつも目にしました。知っている人にとっては単に当たり前に過ぎないことであり、知らない人は勘違いするというのもまあ分からないではない、という非常に凡庸なことが記されているのです。でもこの2つの地域名ってそんなに似てるかな。例えば「せんぞく」であれば台東区の千束と目黒区の洗足があるし、読みが違いますが、調布市の仙川(せんがわ)と豊島区の千川(せんかわ)なんていう亀有と亀戸と比較にならない位には似通った地名があるのだ。なのにどうしてこの2つの町についてばかり混同してしまうといった言説が流布されるのか不思議でならないのです。さらに理解ができないのが亀有が亀戸より知名度で勝っているという記述が多いことです。ご存じのように亀戸には、亀戸天神社が安藤広重の『名所江戸百景』に描かれ、参道には葛餅で知られる船橋屋が操業しています。一方で亀有は地名こそ古くからあったもののネット上の人たちが亀有こそ知名度が高い事の拠り所とする「こち亀」が連載を開始するまではあまり知られていない町だったのではないだろうか。亀戸を知名度が低いと述べる人たちは、亀戸大根や「亀戸餃子」、「亀戸ホルモン」、「亀戸升本」をご存じないんだろうか。亀有にこれらに匹敵するだけの名物が存在するとでもいうのだろうか。
といかにも亀有をディスっているかのような書き方になりましたが、ぼくにとっては亀有がずっと馴染みのある町なのです。といっても伝説(!?)の亀有名画座に通い詰めていただけなんですけど。そんな亀有の町は、「こち亀」のみで亀有をイメージする人がイメージするほどに呑み屋さんの多い町とは思えないのですが、ちょっと個性的な店も存在するのです。偶然立ち寄った「中華食堂 食いしん坊」もちょっと変わり種の中華料理が食べられるお店でした。それはメガジョッキで注文できるサワーとお通しの辛旨ピーナッツからもうかがえるのです。オーソドックスな中華メニューに加えて、えびトーストやシラウオの唐揚げなどが混ざり込んでいるのです。今回頼んだのが大判海鮮餃子。これがピザサイズの大きな餃子でピザカッターで切り分けて食べるスタイルなのです。好みかどうか問われると、正直普通の餃子がいいかもと答えてしまいたくなるけれど、これはこれでクリスピー(クリスピーって語が適当か調べてみたら、パリパリしているという意味に加えてさっぱりしたという意味もあるそうな、この餃子の場合は圧倒的に前者であり、後者とは正反対のオイリーな風味です)好きなら一度は食べてみてもいいかも。一方で唐揚げは極めてシンプルなこれぞ鶏の唐揚げといったもの(とはいえ変わり種の鶏唐もちゃんとあったりする)で、ごついサイズで唐揚げ好きの欲望を満たしてくれるのでした。一品ごとのボリュームがあるので、4名程度で訪れるのが良さそうと、中華屋さんに行くと毎度発する感想を述べてしまうのでした。