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カテゴリ:多国合作映画
1944年、スペイン。主人公の少女オフェリア(バケロ)は、母親の再婚で山間部へとやってきます。 新しい父親は、レジスタンス掃討の指揮を執るビダル将軍(ロペス)。目を背けたい現実の世界から、幻想世界へと足を踏み入れた時、悲しい運命のシナリオが動き出します―――。 残酷な義父ビダルの手中に落ち、母娘は愛されず、臨月の母は体調を崩して生死の堺をさ迷うようになります。 そんなオフェリアの前に、突然現れた妖精。彼女を導き、地底の国へと降りていき、パンと名乗る牧神に会わせるのです。 パンは言います。「あなたは地底の国のプリンセスの生まれ変わりで、満月の夜までに、3つの試練を乗り越えれば、魔法の国に帰ることが出来る」と・・・。 現実の試練と、魔法の国の試練。 ハラハラして、どきどきして、血の凍るような暴力描写と幻想と、行き来する幅がとても広~い。 ビダルに仕えるのを隠れ蓑に、弟のレジスタンス活動を援助する仕女メルセデス、こっそりそれを幇助するフェレイロ医師(アングロ)など、ギリギリの行動をとる人々の、神経をすり減らすようなシーンの連続は、2時間いっぱい目と心を奪いました。 大事な脇役のメルセデスを演じたのは、『天国の口、終りの楽園。』でも印象深かったマリベル・ベルドゥ。 下地が御伽噺とはいっても、憎しみ、怒り、暴力といったものが、オブラートで包まれるわけではなく、整然と並べられています。PG12指定になってます。 「地下の国のお姫様は、ずっと昔、地上に出たいと望みました。ところが強い地上の光に当たり、死んでしまったのです―――」冒頭に出てくる御伽噺。 地下に足りないものは地上。醜いものがなければ美しいものもない、不幸がなければ幸せはない。だから命がけでそれを求めたのでしょうか。 だとしたら、それを知ってるオフェリアは、均衡をもたらしたのでしょうね。 監督はメキシコ出身のギレルモ・デル・トロ。過去の作品はアクション映画が多く、観たいと思うものはなかっただけに、本作の立派さに驚きました。 テーマに据えた事柄も、映像のファンタジックさも、残酷さも、すべてが相まってこその相乗効果。 ファンタジーが、残酷な戦争映画に、別の道を切り開いてくれる、ありそうでなかったと思うダークダーク・ファンタジー。余分にダークを付けたくなるほど、悲しい救いのある作品でした。 監督・脚本 ギレルモ・デル・トロ 製作 アルフォンソ・キュアロン ベルサ・ナヴァロ ギレルモ・デル・トロ フリーダ・トレスブランコ アルバロ・アウグスティン 撮影 ギレルモ・ナヴァロ 編集 ベルナ・ビラプラーナ 音楽 ハビエル・ナバレテ 出演 イバナ・バケロ セルジ・ロペス マリベル・ベルドゥ ダグ・ジョーンズ アリアドナ・ヒル アレックス・アングロ ロジェール・カサマジョール (カラー/119分/メキシコ=スペイン=アメリカ/EL LABERINTO DEL FAUNO) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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