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2011.11.14
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カテゴリ:イタリア映画
  

(あらすじ) 1971年、イタリアのトスカーナ。銃の暴発で両目の視力を失ったミルコが、古いテープレコーダーとの出会いによって、新しい世界への扉を開いていく――。


 イタリア映画の得意とする、少年を主人公にした小粒の良作。
ことし公開となったイタリア映画『人生、ここにあり!』は、1978年の精神病院廃絶法の制定で起こるドラマを、ユーモア交えて描いている。 本作は、盲学校廃止の法律ができる、すこし前が舞台。イタリアの70年代はこんな時代だったんだ。

伝統を重んじる盲学校で、次第に心を閉ざしていくミルコを変えたのは、彼の感性にいち早く気づいたジュリオ神父と、神父がこっそり与えてくれたテープレコーダーだった。
ミルコは、管理人の娘フランチェスカやクラスメイトと共に、自然の奏でる音をレコーダーに記録していく。
風の音、雨の音、鳥の羽音、手に入らない音はじぶんたちの手で作った。いつしかほかの生徒たちも加わって、声と音の小さな物語ができあがる。
しかし、ミルコの行動に理解を示さない校長は、彼からテープレコーダーを取り上げて退学処分にしてしまうのだった、、。


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からだは五感のひとつが壊れるとそれを補うようにできています。演奏家が目を閉じるのは視覚以外の感覚を鋭くしているのです――そんなジュリオ神父のセリフが好きだった。

テープレコーダーで音を集めるシーンを見ながら、わたしは『イルポスティーノ』を思い出していた。イタリアを舞台に、亡命詩人と郵便配達夫のこころの交流を描いたこの作品は、マッシモ・トロイージがレコーダーにナポリの島の音を集めて、詩人に思いを伝えるシーンがあったのだ。
同じく、目の見えない彼らが学校を抜け出して映画を観に行く場面など、映画への郷愁があちこちに散りばめられていた。ひょとすると『イルポスティーノ』や『ニュー・シネマ・パラダイス』へのオマージュだったのかな。

イタリア映画界で活躍する、盲目の音響技師の自伝小説が基となった物語。人生のターニングポイントに、良き導き手に出会えた幸運や、盲目であることを障壁としなかった秀でた感性にジーンときた。耳を澄ませて観たい、いい映画だった。


†     †     †


  監督  クリスティアーノ・ボルトーネ
  脚本  クリスティアーノ・ボルトーネ  パオロ・サッサネッリ  モニカ・ザペッリ
  音楽  エツィオ・ボッソ
  出演  ルカ・カプリオッティ  シモーネ・グッリー  アンドレア・グッソーニ

  (100min)






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Last updated  2011.11.19 13:39:06
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