テーマ:詩&物語の或る風景(1049)
カテゴリ:トリビア
多摩川に曝(さら)す たづくり(てづくり)さらさらに
何(なに)そ この児の ここだ愛(かな)しき 万葉集の作者不明の東歌がある。 多摩川の清流に 愛しい娘が税として都に送る手織の布を曝している。 サラサラと流れる澄んだ水に、布はアクがとれて さらさらに(新しく新しく 白く)なる。 どうして この娘は こんなにこんなに(さらにさらに)可愛いのだろうか!! というような意味だ。 高校時代に習ったこの歌が、いつも頭にあった。 先日、東京の里山のある公園、■岡本公園民家園■に行った時のこと。 近くに「砧(きぬた)」という地名があった。 砧(きぬた)とは、布や藁をたたいて柔らかくするための道具。 それでは一般 民衆の衣は、というと長いこと麻や楮(こうぞ)、藤、葛(かずら)など、 樹皮からとった繊維を織ったものでした。 それらを蒸し、さらに川で晒し、紡いで織ります。 こうして繊維の太く、布目も粗いごわごわした布が出来上がります。 これを打ち柔らげるためにとんとんと叩くことを総して砧といいました。 砧という地名を見て、ここは、大昔、布の産地ではなかったのだろうか? という疑問が浮かんだ。 万葉集が書かれた時代、武蔵野の南部を流れる多摩川べりでは、税として納める手織りの麻布づくりが盛んであった。 砧地域の地形を調べて見ると、南には多摩川が流れ、その支流が幾つか流れるとある。 やっぱり、砧(きぬた)という地名は、東歌、「多摩川にさらす・・・」に関係あったに違いない。 ところで、砧(きぬた)とは、衣板(きぬいた)に由来するという。 衣を打つのに用いた石の台。 また草を打つのに用いる石のこと。 *たたく棒のことを「砧:きぬた」*とされがちだが「杵:きね」との混同であり、棒の呼称は「砧杵(チンショ):きぬたのきね」である。 私もたたく棒をもって砧というと思っていたが、なるほど・・・。 ところで、棒でたたくというのは、布を作る時だけではなく、洗濯にも使われていたようだ。 何気なく開いた、絵本「桃太郎」の中で、川で洗濯をするお婆さんが持っているのが、砧のきね。 洗濯物を乗せている石が、砧(きぬた)ということになる。 なるほど、砧という字は、石編だ・・・。 ・・・・・・・・・・・・・ ◎自然と人間が仲良く暮らしていたころの話です。 ★2010年12月4日*「ジャンク・スタイル」/守護聖女バルブの日の小麦 * ・・・・・・・・・・・・・・ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2010.12.08 22:44:55
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