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カテゴリ:日本計量新報論説と解説(電子判)
写真は東京都計量検定所タクシーメーター検査場
写真は東京都計量検定所タクシーメーター検査場における装置検査のようす。 写真は神奈川県計量検定所タクシーメーター検査場における装置検査のようす。 写真は神奈川県計量検定所タクシーメーター検査場における装置検査のようす。ローラー台の上をエンジンをかけたタクシーを自走させてメーターを検査する。 (タイトル) タクシーの料金改正は計量検定所のメーター検定と連結する (本文) 新しい考え方を導入したタクシー料金の改定が東京都の京23区と武蔵野市および三鷹市からなる東京地区で2017年1月30日から実施された。東京では新料金の区域が順次広げられる。東京地区で営業するタクシー会社全331社と大半の個人タクシーが関東運輸局に新運賃を申請している。 タクシーの新料金は初乗り運賃は730円(2km)から410円(1.052km)に変更された。初乗り運賃は380から410円の間で10円きざみで設定できる改正料金体系になっている。9割をはるかに超えるタクシー会社が初乗り料金を410円にしているから、初乗り料金が410円といってよい。 初乗り後は新運賃では237メートルごとに80円になった。これまでは280メートルごとに90円だった。2kmまでは新運賃が安い。2kmから6.5kmの間では高かったり安かったりする。6.5km以上は初乗り料金が下げられた分が上乗せされるかたちで高くなる。 国交省は2016年8月から9月にかけて浅草や新橋駅前など4カ所で新料金の内容を確かめるためている。国交省はタクシー会社の料金改正の申請を審査するのとあわせて消費者庁と協議し、2016年な12月に新運賃を公示した。タクシー料金の改訂に経済産業省は直接はからんでいない。 タクシー料金の改定があるとタクシーメーターの製造会社とその間連のサービス事業所の業務が少しの間ふくらむ。多くのタクシーメーター製造会社は、タクシーメーターの料金改定作業を1月29日(日)と1月30日(月)などに集中している。 タクシーメーターは、メーター単体ではなくタクシーメーターを車両に装着した状態で検査することが計量法の規定で定められてる。長さ計の概念としてのタクシーエーターは公差など法令で定めた基準を満たしているか検査用ローラーに車輌を乗せ走行試験をする。走行距離に応じた料金が表示されるかこのときにしらべられる。 タクシーメーターの検査としての検定を実施するのは都道府県の計量検定所などの名称の行政機関である。これが検査はタクシーメーターの装置検査であり、検査に合格すると装置検査証印が付けられる。証印は鉛によるものと電子証印とがある。 タクシーメーターの基本概念は長さ計である。タイヤを装着して走行した距離がタクシーエーターの表示と符合しているかどうかが検査される。走行検査は路上の規定の距離を走行させて行う方式で実施されていたこともあるが、今では都道府県の計量検定所などの計量行政機関のタクシーメーター検査装置としての検査用ローラーにのせて走行させている。タイヤの減り方ほかを考慮した誤差が定められていて、その範囲にあればタクシーメーターは検定に合格する。 この誤差を許容誤差ということがあるが、許容とは誰にとってのものであるかという疑問が呈される。駅から家までの料金が変動することがあり、その変動はタクシーの蛇行運転によるものなのか出発地点が違うことによってもたらされたものなのか確かめようがない。ある範囲で確かであるというのがタクシーメーターの誤差である。これが計量法令で定められている。その内容は2,000mで+80mまのプラス公差であり、2,000mを下回ると不合格になる。プラス公差という片公差がタクシーメーターの公差である。もっともこのような公差を設定するとプラス公差分の料金がいつのまにか上乗せされるのであるが見掛けのうえでは消費者を「守る」ことになる。 2017年1月30日にタクシー料金が新料金体系になった東京都では東京都計量検定所がタクシーメーターを検査する側としての準備して対応した。料金の体系の確認、検査所の人員の配置ほか想定される事前の準備がなければ、短期間で大きな検査需要に対応しきれない。東京地区は東京都計量検定所が港南、深川、立川の3カ所のタクシーメーター検査場で実施している。なおハイヤーなどは積算距離に比例する単純な料金の体系になっている。 タクシーメーターの検定の有効期間は1年である。したがってタクシーは毎年、装置検査が実施される。装置検査手数料として県の場合には1台あたり700円の金額を県収入証紙で納入する方式になっている。富山県では1,400ほどがタクシーおよびハイヤーが営業しており当然であるが年に1回、検査のローラー台にのって装置検査を受けている。ある県の場合にはタクシーメーターの検査日を水曜日に限定して実施している。 タクシー会社の側からのタクシーメーターの検定への対応ということでは次のような流れになる。まずはタクシーメーター会社のサービス工場で予備検査をする。装置検査のためのローラー台にのって2,000mほどをタイヤ駆動させて誤差の程度を確かめる。検定の公差は2,000mで+80mまのプラス公差であり、2,000mを下回ると不合格になるので、この公差に収まるように調整する。そのあとで計量検定所に持ち込んで検査を受ける。合格すれば1年間有効となりメーターに封印がなされる。検定所におけるメーター検査時間は10分ほど。予備検査をするサービス工場には検査料金が支払われる。その金額はタクシーメーターの検定料金の700円より高額である。 タクシーメーターの検定料金は調べた二つの県では700円ほどであった。検査費用の実態にあわせて1万円ほどを徴収すれば良いではないかと考えることがあるようだが、手数料の条例改定は議会をとおることこそ不可能であり、計量法の検定と検査手数料は低料金のまま固着して動かないものと考えなくてはならない。1万円ほどの検査表となっているのはタクシーメーター装置検査用基準器検査でありある県では13,400円であった。この県のタクシーメーターの検定料金は700円である。一つを動かすと全部を動かさなくてはならないから計量法の規定に対応する検査料金が低料金の状態で固着して動かし難い。 計量法におけるハカリの定期検査は計量検定所など都道府県の計量行政機関が特定市としての計量検査所などと分掌して実施している。計量士による代行検査としての定期検査と指定を受けた計量管理機関自身によるハカリの検査が定期検査の「免除」という仕組みがこれに加わる。都道府県の計量行政機関や特定市としての計量検査所などは計量協会など民間機関を定期検査を「代行」させる指定定期検査機関に指定して、行政機関がハカリの定期検査をしたことにする仕組みを利用する度合いが増大している。また計量行政機関が「補助金」に似た費用を用意して計量士会などに定期検査の代行を依頼している事例も少なくない。 都道府県の計量行政機関の検定や検査業務にとってタクシーメーターの検定、ガソリン計量器の検定は大きな仕事である。業務量の多さということではタクシーメーターの検定が筆頭になる。ある計量検定所のようすを眺めるとやっていることといえばタクシーメーターの検定だけであるようにみえる。タクシーが時折やってきて検査のローラー台にのって走り検査員がその結果を確認するというのが計量検定所の光景である。ハカリの定期検査を指定定期検査機関に指定した計量協会などに実施させていることによって生じるものであり、ハカリの定期検査は計量検定所などの庁舎の外で行われることにもよる。 タクシーメーター装置検査用基準器には埋め込み式ローラーと可搬式ローラーがある。埋め込み式ローラーでは一般に外周1mのものと2mのものがあり、またFF、FR、4WDに対応したものがある。可搬式ローラーは移動可能でありタクシーが大量にある場所に出張して検査を行うことができる。また埋め込むことができない状況でも使用できる。 東京都計量検定所は、はかり、体温計、血圧計、燃料油メーター、タクシーメーターなど18種類の「特定計量器」計量器の検定ほかの業務を実施している。しかしこうした業務を幅広く行っている東京都計量検定所は今では特別な状態にあり、人口の少ない県などとは様子が違う。 家をでるときに電気、ガス、水道忘れ物ないかとつぶやく。電気、ガス、水道の各メーターは指定製造事業者制度によってメーカーが自己検定するようになっているので計量検定所が直接に検定業務を実施することはほとんどなくなった。 タクシー料金の新体系が東京都の京23区と武蔵野市および三鷹市からなる東京地区で2017年1月30日から実施されたが、この動きは全国に広がる。東京都で実施したタクシーの料金改定にともなう装置検査としての検定業務が全国で同じようにおこなわれる。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2017年02月03日 14時51分08秒
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