「アトランティス伝説」 失われた大陸/古代の叡智 イメージの博物誌28 ジェフリー・アッシュ 船本裕・訳 1994/10 平凡社 原書 Atlantis : Lost Lands, Ancient Wisdom 1992
イメージの博物誌は、「タントラ」や「聖なるチベット」などを読んだ。未確認だが、現在のところ34巻までシリーズででているらしい。一冊一冊が興味深く、このままこのブログがいつまでもつづくとしたら、間違いなく、このシリーズ全巻がこのブログに登場することになるだろう。しかし、それはいつのことになるやら。
この本、タイトルがアトランティスなので、実はあまり期待していなかったのだが、思った以上にレムリアに触れていた。というよりこれらは表裏一体の分かちがたいジャンルなのであるが、一般に認知度の高いアトランティスをメインのタイトルに選んでいるにすぎないという気配も見える。いずれにせよ、19世紀をはさんだこの1~200年ほどの間に、この「失われた大陸/古代の叡智」探究は、おびただしい数で行なわれており、しかもブラバッキーと神智学協会は避けて通れないキーワードであるようだ。しかも、こここそがレムリアという「衝動」の源泉となっている気配さえある。
レムリア関連だけを抜き出そうとしたが、それは無理だ。一冊まるまんま転記しなくてはならなくなる。
1888年に出版された「秘密教義」の中で、ブラバッキー夫人はアトランティス、またレムリアについても、さらに多くのことを述べた。ドネリーに賛同して引用しつつも、オカルト風啓示と秘密文書から取り出した知識を、いまや自分のものだと主張した。そのうえアトランティスの存在を再度断言しようとして、彼女はレムリアを非常にふくらませた。そのため、それは消滅した太平洋の大陸に取り込むと同時に、アフリカあたりまで拡大して、大西洋に入り込むことになった。彼女曰く、アトランティスそのものがレムリアの引き裂かれた一部なのだと。p010
大風呂敷がさらに拡がって、破れてしまわなければいいが、と思うが、このレムリアはさらにアメリカ大陸まで及ぶ。
シャスタ---レムリアの植民地
(前略)失われた大陸の神秘は、1894年に出版された本「ニ惑星の一住人」中のシャスタに集中し始めた。この著書フレデリック・スペンサー・オリヴァーは、同山のそばに住んでいたのだが、その物語は「チベット人のピュロス」から自分に伝えられたのだと説明した。話の大半はアトランティスにい設定されているが、オリヴァーはまた、レムリアやシャスタ山の地下神殿についても語っている。彼が原住民の神話を知っていたかどうかは分からないが、ドネリーは確かに知っていた。
同書に感動した読者たちは、内容を真に受けてそのメッセージを発展させ、シャスタ山における石の扉や地下世界の全体へ通じる通路について語った。レムリアの「達人」たちがそこにいて、ときたま出てくると言われる。長居を身にまとい、儀式を執り行う彼らの姿が目撃されている。p092
「レムリアの達人」という言葉には、ビビっと来るョ。タロット・カードの「隠者」か、ユングの元型「老賢者」のようなイメージだろうか。あるいは、「ハリーポッター」にでてくる魔法学校の校長先生アルバス・ダンブルドアのようなものであろうか。この「レムリア」カテゴリでは、レムリアの達人、老賢人に会いに行く、というのがメインの趣旨である。
さて、北カルフォルニアのシャスタ山といえば、先日読んだ「失われた世界への旅」にも出ていた。このシャスタ山とネィティブ・アメリカンはどのような形で繋がっているだろうか。北山耕平のブログ「Native Heart」がヒントを与えてくれるかも知れない。
1987年のニュー・エイジの催しものである<調和の集会>は、シャスタ山に数千人をひきつけた。その雰囲気は、芸術家、<新幻視家>たちのグループに霊感んを与えた。神聖な山々は多いものの、この山のように内部に人が住んでいると称するのはごく少数だ。p093
なお、この本においてもリンのゲザルが紹介されている。
チベットとモンゴルの叙事詩中最大の英雄、ゲザル(ケサル)大王。彼はシャンバラに今なお住んでいて、再び姿を現すことになっているという。1920年代に、この予言はモンゴル・ナショナリズムの台頭に顕著な役割を果たした。p013