井原線ふるさとじゃ～ナル

「幕臣たちと技術立国」　　著者：佐々木譲　
２００６年５月２２日　発行　
判型：新書判　２２３ｐ　発行：株式会社 集英社

幕末・維新をいままでになかった見せ方でひも解いてくれた一冊だった。
あの時代をほんとうにリードしたであろう幕臣の３人に焦点を当てて時代の転換点を描いている。　天保の改革時代から近代化にまい進した韮山代官の江川英龍はペリー来航の混乱期に活躍、彼の元で時代を切り開く人材が育っている。それにしても鳥居耀蔵や水戸の徳川斉昭の旧勢力は憎たらしい。彼らが徳川幕府を命運を縮めていた。
ペリー艦隊の対応に当たった浦賀奉行与力の中島三郎助。艦隊の旗艦サスケハナ号に取り込んでアメリカ人を質問攻めして技術を吸収する力は凄い。
幕末・維新・明治を生き抜いた榎本武揚は伊能忠敬の日本地図プロジェクトを引き継いで完成させた神辺町出身の箱田良助の息子、幕末にあってヨーロッパの技術を最も吸収して日本に持ち帰った男だ。鳥羽伏見の戦いから五稜郭での函館戦争終結とい戊辰戦争でも己を貫き新政府からもその才を惜しまれ明治の新政府で外交の才をいかんなく奮った天才。それに引き換え勝海舟は技術者としては落ちこぼれ艦長落第、それでも政治の才に長けていたんだね。
幕末をこんな切り口でみせてくれるのは面白い。それにしてもあの時代の人々は学びのスーパーマンばかりだよ。