後志総合振興局地域政策課(黒松内町派遣)です
第2回生物多様性まつり in 黒松内町
7月3日から7月6日かけて、黒松内町において、第2回生物多様性まつりが開催されました。
東京大学農学生命科学研究科保全生態学研究室(鷲谷いづみ教授主宰)の研究者、学生を中心に、昼夜問わず黒松内町内の生き物について調査を行っていただき、その成果をまとめて、今後の生物多様性の保全に活かすものです。黒松内町では、この成果を本年3月に策定した「黒松内町生物多様性地域戦略」の的確な推進に活用することとしています。
研究室のメンバーは、植物、昆虫、魚類などの班に分かれ、ブナ林、湿原、河川、ため池などの町内のそれぞれのフィールドにおいて、標本採取や観察、写真撮影による生態的な特性などを記録しながら、時間を惜しんで精力的に調査を進めていました。
また、この期間中、町内の小中学校において、鷲谷いづみ教授ら研究者による特別授業を実施し、町内の子供たちに「生物多様性とは何か」というテーマを、分かりやすくご説明をいただきました。
実際に生きた魚類や昆虫などの実物を教室に持ち込んで、その生態などについて説明を受け、触ってみてその感触を確かめたりする中で、子供たちの関心が徐々に強くなっていく姿が印象的でした。
最終日には、一般町民を対象に、午前中は、研究室のメンバーによる昆虫の標本づくりの講座や、東京大学地球観測データ統融合連携研究機構の安川雅紀特任助教から「いきモニくろまつない」という調査結果のデータベースをホームページ上で公開するシステムについて説明を受け、今後、町民が自ら調査を行った結果を入力する方法について研修を行いました。
午後からは、一般町民が参加する場で報告会を行い、ブナ林内における希少な植物が確認できたことや期間中に発生した雷雨の中での調査エピソードなどを織り交ぜながら、生き物に関するより多くの情報を報告いただき、黒松内町には全国でも数少なくなった豊かな自然が残る中で、まだまだ謎の多い場所であることもわかりました。
最後に鷲谷いづみ教授から生物多様性の取り組みの総合点においては、黒松内町は日本一との称号もいただき、参加した町民一同で喜びを分かち合い閉幕しました。
黒松内町は、全国でも数少ないダムのない朱太川(本流)を中心に多くの支流を従え、サケやマスが自然に遡上する水の豊かな山間地となっています。
北海道の生物層を2分する黒松内低地帯という場所であり、北限域のブナ林には、ヒグマ、クマゲラなども生息し、まだまだ未知の領域も多く、また北海道の中でもエゾシカの被害がまだ少なく、自然植生も多様な状況が維持されています。
これからも新たな豊かさを発見できる場所として保全しながら、生物多様性の未知なる領域の解明が進むことに期待します。
いきモニくろまつないホームページ
http://kuromatsunai.tkl.iis.u-tokyo.ac.jp/
黒松内町ブナセンターホームページ
http://www.host.or.jp/user/bunacent/