こんにちは。
総合政策部政策局総合教育推進室です。
若者の海外留学を官民挙げて支援する「ほっかいどう未来チャレンジ基金」により留学中の立岩さん(北海道大学)から、12月の活動の様子が届きました。
立岩さんは農業大国オーストラリアの大学と農業研究機関に留学し、北海道で大規模農業を持続させる手法を学んでいます。
ほっかいどう未来チャレンジ基金HP
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ss/sky/mirai-jinzai.htm
ほっかいどう未来チャレンジ基金Facebook
https://www.facebook.com/mirachalle/
12月は師走ということもあってか、今までの月より慌ただしく時が過ぎるように感じられ、圃場の管理やプレゼンをこなしていく間にあっという間に過ぎて行ってしまいました。
11月の後半から1か月ほど、美瑛町の農家さんがTAFEという専門学校にタスマニアの農業を勉強しに来ていました。この取り組みは昨年度から始まったものですが、私が現在のところ(TIA)でインターンシップをすることになったのは、このつながりによるものです。
私がTAFEを訪れたり、またTIAに来てもらったりして、何度かお会いしました。タスマニアの農業を知るにつれ、北海道との違いについて確認をしたいことが出てきたので、絶好のタイミングでした。実際にお話をして面白い違いを確認しました。
北海道では、作物への水の供給は降雨ですべて済んでしまうため、かん水には時間は割きません。しかし、その分除草や防虫に時間を割くとのことです。一方、タスマニアでは、除草や防虫にあまり時間を割かない分、かん水に時間を割く必要があります。結局1haあたりの作業時間は変わらないのではないか、とのことでした。
品質の違いについては、例えばジャガイモでは、味にはそこまで差があるとは思いませんが、手間をかけているためか、日本のジャガイモのほうが見た目はよいです。ただ、オーストラリアの人はそこまで見た目にこだわるわけではなく、ジャガイモはジャガイモだと捉えている人が多いように思われます。見た目の綺麗さまでこだわるというのは日本人としての特性が出ているなと思いました。
美瑛町の農家さんが来た目的の一つがかぼちゃの育成で、日本から種を送り、タスマニアで育ててみるという試行です。今年は「ケント」という加工用のかぼちゃを育てており、彼らがタスマニアから去った後は、TAFEの人たちと一緒に私も面倒を見ることになりました。
今までかぼちゃの収穫はしたことがありましたが、育成をするのは初めてなので、色々と勉強をする必要がありました。かぼちゃは生育が旺盛なので育てるのは比較的簡単なのですが、その代わり栽培には大面積が必要です。
現在TAFEでは、栽培面積を確保するために作物ごとの間隔を大きくとるのか、それとも条間(一株ごとの間隔)を大きくとるのか、どちらの方がかぼちゃが良く育つのかを実験しています。一月の中頃になると葉や茎が大きくなり徐々に違いが明らかになってくると思います。また、圃場の脇に気象観測器が設置されており、気温、風速、土壌の温度・水分などを計測しています。
タスマニアでは、かぼちゃの価格が日本の半分以下とそれほど高くないためか、かぼちゃを育てている農家は多くないと見受けられます。しかし逆に言えば、日本まで輸出すれば輸送費を考慮しても儲けが出るのではないかと考えました。実際、日本のかぼちゃの最大の輸入先はNZであり、また、NZから出た搬送船はオーストラリアにも立ち寄るので、輸送自体もそこまで難しくなく、タスマニアでも栽培が成り立つ可能性があると思いました。
そこで、タスマニアの3大農業会社にかぼちゃの栽培状況について聞いてみました。タスマニアには栽培から出荷までする農業会社がいくつかあり、そのなかでも「Premium Fresh」「Simplot」「Harvest Moon」これら3社が筆頭です。それぞれの会社の方に、輸出用のかぼちゃを作る可能性があるのか、また、過去にそのような取り組みをしたことがあるか、質問をしてみました。
まず、Premium Freshは今までもそのような取り組みをしたことはなく、これからも恐らくないという回答が返ってきました。次にSimplotは、過去に試作でかぼちゃを栽培したことがあるが、実際に輸出するまでには至らなかったという回答でした。最後にHarvest Moonは、数年間輸出用のかぼちゃを育てていたが採算が上手く摂れず、止めてしまったという回答でした。
これらの回答から、もしタスマニアで日本向けにかぼちゃを栽培するならば、消費者にNZとの差を明確に伝える必要があるのではないかと感じました。その差が、価格の差か、タスマニアのブランド力か、それらとは別のものなのかはタスマニアにいる間に考えたいと思います。
TIAでのインターンシップも残すところ一か月半となりました。できるだけ多くのことを経験できるようあと一か月半頑張りたいと思います。また2月から始まる大学での活動に向け、準備も着々と進めたいと思います。