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カテゴリ:ユーラシアの歴史
番組を見ていてまず感じたのが、言葉が似ているということです。もちろん私はカザフスタン語はもちろんモンゴル語もわかりません。
ですが、モンゴルとの関係は長いので「話している言葉がモンゴル語かどうか」は、比較的容易にわかります。 場合によっては知っている単語でわかることもありますが、モンゴル語っぽい語感と言いますか、聞いた雰囲気や語調でわかります。 例えば、多くの日本人には韓国語も中国語もわからなくとも、聞けばその違いくらいは分かる人はたくさんいると思います。 アジアに限らず、全く話せなくともフランス語とドイツ語の違いを理解できる人はたくさんいるでしょう。その程度の経験ですが、カザフスタン語はかなりモンゴル語に近く聞こえるのです。 多分、モンゴル語を正確に理解している人は、逆に「カザフ語は全然違う」と言うかもしれませんけど。 カザフスタン語は恐らくトュルク系の言葉でしょうから、モンゴル語とは同じアルタイ語系の仲間ですから似たような言葉もたくさんあることでしょう。 現代の両国人同士の言葉が通じることはないでしょうが、遠い昔はつながっていたことは間違いありません。 先日のBCGのアルムナイパーティで元コンサルタントのトルコ人がいたので、私は思わず「え!トルコ人ですか?私あのー、モンゴル、いや私は日本人なんですけど、モンゴルと親しいんですけど、トルコということはトュルクですね?」などと支離滅裂な話をしてしまいました。 もちろん、日本語で。「はい、トュルクです」と答えてくれたので、思わず嬉しくなっちゃいましたが、周囲の日本人はちょっと引いたでしょう。 私は本物のトルコ人と話すのは初めて(もちろん、六本木などのトルコ料理屋さんでは話したことありますけど)で、その方の戸惑いも気にせずに私は話を続けました。 「トュルクの人にとって、モンゴル高原はそのルーツがあるというか、故郷があるのはご存知ですか?」と聞くと「はい、もちろん!」と答えてくれました。 モンゴル人側はほとんど「モンゴル高原にはもともとトュルク系の人がいた」とは知りませんが、トルコではやはり自国の歴史をきっちり教えてくれるようです。 で、私が続けて「すいません、トルコ語で水はなんと言いますか?」と聞くと「ス」ですというではないですか。発音的には私には「ス」の前に軽く母音(ゥかォか何か)があるように聞こえました。 私が「モンゴル語ではオスなんです」と言うと、驚いた顔をしていました。じゃあ「手」は?「血」は?と聞こうと思ったのですが、私の方に別方面から声がかかってしまい、泣く泣くその方と離れてしまいました。 というわけで、ちょっとネットで調べてみました。すると、あるわあるわ。多分、99%以上のモンゴル人は知らないでしょうね、こんなに似た言葉があるなんて。 以下に、ネットで調べたモンゴル語とトルコ語の類似単語をいくつか書いてみます。ちなみに、現代トルコ語とこのブログの主人公であるカザフスタン語がどのくらい近いのか、あるいは離れているのかはわかっていません。でも、同じ系統の言語であることは間違いないと思います。 まずは、今申し上げた水です。 su ス 水 ус オス 水 上段がトルコ語、下段がモンゴル語です。モンゴル語はキリル文字。 ulus ウルス 国民、民族 улс オルス 国、人々 これもほとんど同じですし、歴史的な言葉ですから、類似性を感じます。 çiçek チチェック 花 цэцэг ツェツェッグ 花 これはすごい。モンゴルでは女性に多い名前ですが、トルコ語とそっくりです。 sandalye サンダルイェ 椅子 сандал サンダル 椅子 これは私がモンゴル語の授業で覚えた単語ですが、なんとトルコ語もそっくりです。 altın アルトゥン 黄金 алт アルトゥ 黄金 これも昔からこの地域に重要な言葉です。アルタイ山脈にも通じることから考えると、やはり同じ地域にいたんじゃないでしょうか? er エル 男 эр エル 男 これも同じです。 とにかくキリがありません。詳細は言語学者にお任せするとしても、これだけ共通の単語があると信じざるを得ませんね、昔の結びつきを。 というわけで、カザフスタン人の発音から、モンゴルとトュルク(現トルコ人)との遠いつながりが垣間見えたような気がしました。 もちろん、他にもたくさん文化的な関係が見えました。 (続く) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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カザフスタンについて話題提供してくださってありがとうございます。正確にはカザフスタン語ではなくカザフ語です。ご指摘の通り、テュルク諸語とモンゴル語の共通性がありますが、意思疎通が難しいです。前回の両国の政治体制についてですが、その違いが国民度によります。全ての国は、それに相応しい政府を持っています。
(2017.10.09 16:00:37)
カザフ人さん、ありがとうございます。
>カザフスタンについて話題提供してくださってありがとうございます。 はい、「カザフ人さんに見てもらう」と思って書いてますよ。距離はありますが、日本語ができるカザフ人は大変貴重な方ですからね。 カザフ語とモンゴル語の両方を知っていると、その類似性も違いもよくわかるでしょうね。現代カザフ語と現代トルコ語はどのくらい違うのですか?意思疎通はできますか?「関西弁と東北弁」くらいの違いですか? 国民度の問題は難しいですね。それもまた政治体制、経済発展度の影響を受けるでしょうから。 (2017.10.09 18:31:03)
モンゴル2008さんへ
いつも参考になる記事を書いてくださって大変ありがたいです。 日常会話レベルならゆっくり話しますと理解できます。3ヶ月でかなりの難度が高い物事を理解することできます。国が異なりますので、やはり時間が必要です。 ちなみにモンゴル語でのArkhi(モンゴルのお酒)はアラブ語、baishin(建物)はペルシア語、Burhan(神様)がテュルク語からそれぞれが来ています。このように見ますとかなり面白いです。 (2017.10.09 20:50:41)
カザフ人さん、ありがとうございます。
モンゴルという国を知るにつれ、ユーラシア全体に関心を持つようになりました。ユーラシアを知れば知るほど、はっきり言ってモンゴルよりもトュルク系の影響が大きいことがわかりますね。 そうですか、トルコ語はゆっくり聞けばわかるのですか!それはすごいことです。現在の世界で、こんなに距離が離れている国で、植民地や教育以外で言葉が通じる国ってあるのでしょうか?南米のスペイン語・ポルトガル語、じょくべい・オーストラリアの英語、カザフスタンのロシア語など、どれもトルコ語とカザフ語の関係とは違いますから。 モンゴル語もユーラシア西方からの言葉が多いのですね。雄大な歴史が想像できますね。 (2017.10.09 22:31:29) |