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田崎正巳のモンゴル徒然日記

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2020.06.06
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「昔の面白いブログシリーズ」の第30回目です。2009年11月17日付けの「携帯番号がプレステージ!?」を載せます。

モンゴルで生活している人はわかると思いますが、モンゴル人には携帯の番号に対する強い思いがあります。単に「誕生日」とか「車の番号」などの私的な思いではなく、プレステージ、もっと言えば「偉いんだぞ!」を表現する手段なのです。

以下、掲載します。


国によって数字などの意味するものが異なることはよくある話です。

香港の豪華ホテルに停まっているナンバープレートが8のロールスロイスを見たことがある人も多いと思います。

日本と同じ末広がりの八が縁起がいい、のかどうかはわかりませんが、国によって好き嫌いはあります。

日本のホテルでは、513号室の隣が515号室で514を飛ばしたりすることは時々見ます。

欧米では、13は良くない数字ですが、7はラッキーセブンで良いとされているところも多いようです。

ですが、この携帯番号の話は、そういうその地域独特の縁起のいい番号などの話とは違います。

私が最初に電話番号のことを気にしたのは、昨年携帯電話を買った時です。Mobicomというモンゴル最大の携帯電話会社に加入しました。

たった260万人しかいない国で「最大の」というのも大げさですが、4社が競合しているので、日本よりも携帯会社は多いのです。

その時、「どのコースに加入しますか?」と聞かれました。私はもちろん、一番安くなりそうなコースを選ぼうとしました。

パンフレットには、日本の携帯会社のようにいろんなコースがあり、固定部分を高めにして割引を多くするとかなどの工夫がなされていました。

その際「ご希望の電話番号は?」と聞かれ、下4桁は日本の番号と同じにしたい旨伝えました。

ですが、残念ながらもうないとのことでした。(後で聞いたら、コネを使えば何とかなるようなことは聞きましたが)ところが、「このプラチナコースでしたら、その番号はご用意できます」と言うのです。

「え?コースというのは料金支払いの方法だけじゃないの?」と聞きました。説明を受けたのですが、いまいちよくわかりません。ゴールドコースとプラチナコースは一体何の特典があるのか全くわからなかったのです。

逆にデメリットはわかりました。契約金額が高い上に、通信単価も高いのです。他に、何か特別サービスや付帯サービスがあるわけではないというのです。

私は混乱しました。カードでもゴールドカードの場合は、ユーザーが本当に必要としているかは別にして、クレジット枠が大きいとか、会員の電話番号が直通で別だとか、ホテルなどの予約が取りやすいとか、高いなりの一応の理屈はあります。(多くは屁理屈ですが)

ところが、この会社のゴールドやプラチナには、屁理屈すら全くないというのです。むしろ料金が高い上に、通信単価まで高いという、悪いことしかないように思えました。

私は気を取り直してBさんに聞きました。「このコースは高いだけで、メリットは何もないの?この私の理解で正しいの?」と。

すると「実態はおっしゃるとおりです。ただ、高いだけです。でもそれでプレステージを感じる人がいるのです。」と言われましたが、私には何をどうやってプレステージを感じるのかわかりませんでした。



そして最近のことです。日本人の友人のYさんとその友人のモンゴル人のEさんと食事していた時のことです。

「いやー、最近携帯の番号変えたので、ちょっと女の子の対応が変わった気がします。」というのです。彼はまだ20代前半の若者です。

その理由とは・・・



モンゴルでは、ほとんどの人がプリペイド方式です。先日電話会社の人に聞いたら、97%くらいはプリペイドだそうです。

理由は簡単で、与信を与えられないからです。確かに、後払い方式は一種の与信です。使った料金はまとめて1カ月分請求しますが、モンゴルではそれを払ってくれるかどうかはわからないのでしょう。そのため保証金もあるし、そもそも通信単価も後払いの方が高いのです。

私はプリペイドの人が「あ、カードがなくなった」とか「ユニットがなくなった」などと言って、携帯を使えない状況をときどき見ますが、あんなに不便では困ると思いますが、とにかくこの国では後払いの人はほんの2-3%しかいないのです。

そして、Mobicomの場合、最初の4桁が9901や9902など9912までの人が後払いなのだそうです。確かに私のもそうです。

Eさんが女の子の対応が変わったというのは、彼が最近プリペイドから後払い方式である9902で始まる番号に変えたからだそうで、彼によれば「おっ、この人後払い?すごい?」って受信者がすぐわかるからだというのです。

一体何がすごいのかさっぱりわかりませんが、確かにわずか3%しかいない人であれば、そう感じる人もいるのでしょう。彼の年齢のこともあるのでしょう。

Eさんによれば「それは話し方や対応が全然態度が違いますよ。こんなに違うとは思ってもみませんでした。」と言います。ま、20代前半の若い世代だからなのかと思っていたら、そうでもないようです。

彼によれば、「後払いというだけで十分プレステージありますが、9911だったら、そりゃあもっとすごいですよ!」と言います。

この9911というのが、私が携帯買った時に聞いたゴールドやプラチナの番号なのです。こういうのは会社の社長さんなどの金持ちが持っているんだそうです。

しかし本当にこんな番号を気にする人なんているんでしょうか?電話番号は、一旦電話番号名簿に登録してしまえば、受信時には発信者の名前が出るわけで、番号なんか気にするはずないと思うのですが。ですが、周りに聞いてみると、結構電話番号のルールを知っているのです。

プリペイドか後払いか、さらにはゴールドか。そしてどの会社の電話番号かも。多くのモンゴル人がとても電話番号に敏感なのに驚きます。

そして私自身の携帯電話に登録している人を実際に調べてみました。その結果は・・・

なんと学長が9911でした!学部長は違いましたけど。また、ある財閥グループの社長も9911でした!私のクライアントの会社の社長もです!!

更には日本人の大手商社駐在員所長(M、M、S)3人もです。!!!確かにこの顔触れは「単なる偶然」ではないです。

こういう人たちは明らかにプレステージを求めているのでしょう。なぜなら、私が何度も確認した「機能の差は全くない」のであって「ただ、高いだけ」なのですから。

昔からの縁起物とは全く関係のないとある数字が、こうしてプレステージを生んでいる(?)のもモンゴルの特徴なのでしょうか?

ちなみに私はゴールドではない単なる「後払い」ですが、そんなプレステージ感じたことはもちろんありません。ま、知らなかったのですから、当然ですけど。





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Last updated  2020.06.09 16:14:42
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