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カテゴリ:中部地方(北陸・東山・東海)
四日市には幼少時住んでいたことは前回書きました。その後、旅行の途中に立ち寄ったりしたことはありますが、わざわざ宿泊してまで呑み歩こうと思い立ったのは初めてのこと。四日市の呑み屋街、歓楽街は近鉄四日市からそう遠くないことはすでに確認済みです。町の顔となっている立ち呑み屋で軽く呑んで向かうのは酒場放浪記のお店です。
宿泊したホテルから5分ほど歩くと「居酒屋 川富実」に辿り着きます。雑居ビルの奥にあるらしくビルの入口には、看板が並んでいます。なのでそわそわとビルの奥に進みますが何たることすでに目指す酒場は閉店したらしく、看板だけが放置されたままに別な店舗がさもずっとやっていたかのような様子で営業していました。 それじゃあ、きっと休みでしょうけどもう一軒の「居酒屋 うま安」に行ってみることにしましょう。しばし歩くとやがて一軒家の渋いよい佇まいのお店があります。それが目指すべきお店のようです。驚いたことに明かりも灯っています。あてにしていなかったお店がやっているのは事のほか嬉しいものです。暖簾をくぐると、おやおやわれわれが口開けだったようです。店内も外観が予想させるまんまのオーソドックスで居酒屋の見本のようなお店です。こういう店はうっかり酒場と書くのは躊躇します。こういう伝統的な居酒屋は恐らくは蕎麦屋の佇まいを起源にさらに俗な感じにして、もっと騒々しい印象に厚化粧していったように思われます。だからきっと酒屋さんを期限にした都内のカウンターだけのお店が大衆酒場とか呼ばれたりするのとは質的に違っている気がするのです。店は家族でやっているのでしょうか、両親にその息子さんという3名でやっておられましたが、この日は祝日だったので少数精鋭で営業していたのかもしれません。息子さん(多分)は、気のいいお兄さんで四日市に住んでいたことを語ると嬉しそうにお喋りに付き合ってくれました。こんな雰囲気のお店なのでついいきなり日本酒を所望。たまたま品書きに見つけたシオサバだかシオニシンだかはっきり覚えていませんが、それはカチカチになるまで塩漬けにした魚をそぎ切りしただけのものです。とにかくしょっぱいのですが、これがなかなか日本酒に合うのです。それもまあ当たり前か、塩や味噌を舐めて呑むのと似たようなものですが、そこに魚のくさみがいい加減に交わって地味深いのです。魚介のメニューも充実していてもう少しあれこれ頂きたいところですが、地元に帰省していたらしい家族連れが入ってこられたのをきっかけに勘定を済ませました。 通りを渡った先に立ち呑み屋があります。かなり賑わっているようです。「炭やき立ち飲み屋 ヤマコー(山甲)」というそのお店は、別に四日市らしさなど微塵もない日本中どこにでもありそうなお店です。通りから丸見えの造りになっていて、人目を憚ってまでして呑まねばならぬ方にとっては避けたほうが良いお店のようです。それにしてもここはなんだ、呑み屋というよりはラーメン屋みたいなお店です。というのも書かずとも察してしまわれそうですが、若者中心のグループがこぞってラーメンを旨いうまいと啜っているのです。ぼくもラーメンはけして嫌いではない、というとよりは好物の一つですが、昼ならともかく、これから呑もうというタイミングで食べようとはとても思えないのです。いや、彼らはこの宵の口ですでに解散しようということなのでしょう。〆のラーメンということなのか。それにしてはいかにも早すぎる時間です。ところで店のことはといえば格別語ることはないのですね。少なく共ラーメンに関しては、うま味調味料をふんだんに使用した国産中華料理店を愛好するぼくなどよりはずっと舌の肥えた若者がスポンサーの顔を立てているとしても確かに満足そうに食べているのを見ると腕は悪くないらしいのですが、立ち呑み屋にとっては絶対条件であるべき値段が少しも立ち呑み屋のそれではないことを考えると、根本的に酒場としての業態選択を誤ったと思われるのです。ざっと散策したところ四日市ではさほど立ち呑みの文化が浸透しているようには思われぬので、ちょっと東京などの流行りを先取りしたように思われました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2016/09/19 08:30:02 AM
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