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カテゴリ:東京都その他
武蔵小金井にはかねてから行きたい施設がありました。その施設について書くことは本ブログの本来の趣旨からもしかすると外れているかもしれませんが、気にせず書くことにしますが、それもちょっとあとのお話であります。武蔵小金井には、何年か前に「百薬の長」、「鳥ひろ」、「壱番館」-これ喫茶店っぽいけど居酒屋さんです-酒場巡りで訪れた、それ一度っきりなのでした。なんだか心理的に遠そうだというイメージがあるし、何より一度の訪問でもういいかなって思えてしまうような町並みだったのでした。そういや京極夏彦の『魍魎の匣』で女の子二人がプラットホーム上での姿が描かれるわけですが、この物語のきっかけであり、謎の核心に迫る重要な場面が武蔵小金井駅だったことをふと思い出しました。と書くとカッコいいのですが、たまたま先日漫画版-これがなかなかよく描かれていて、むしろ小説版より理解が深化できたかもしれません-を読んでいて知ったのでありますね。漫画版で描かれる風景は田園風景そのものだったと思いますが、地方の小さな町のような退屈で―実際に訪れてみると思った以上に近いことに驚かされるのです―、しかし駅前ビルもモデルルーム化したりどうも再開発が中断しているように見えるのでした。
せっかく武蔵小金井まで訪れて手ぶらで帰るのもつまらないので、ナイトキャップのお供用としてチョコを買うことにしました。駅の北口をしばらく歩いて、10分近くすると『魍魎の匣』で描かれた時代の武蔵小金井の田園風景が見えてきます。茶とか黒味がかった古い民家の立ち並ぶそのとてもショコラテリーとは思えぬ風貌の民家が「チョコファニー(CHOCOFUNNY)」でした。思いがけず散在してしまいましたが、ここのシュークリーム―チョコとカスタードのミックスをいただきましたが、手土産に最高ではないか―とキューブという濃生チョコ風味のケーキなどどれもこれも絶品なのでありました。 途中、なんでもない珈琲豆焙煎屋の「コーヒーロースト(Coffee Roast) 焙煎」で格安珈琲豆を用意しておいてもらい、引き返して来たらコーヒーを味見させてくれました。とてもお手頃で感じのいいお店でした。郊外の町にはこういう店が案外重宝がられるのかもしれません。 博物館とかそういった施設は嫌いじゃないけど、後回しにしてしまっていた施設があるのでした。ご存じ、「江戸東京たてもの園」であります。お目当ては無論のことに「鍵屋」であります。園内マップを手に入れるとすぐさまその場所を特定して、順路の最後にもってくるよう巡回経路を組み立てるのであります。見どころが多過ぎて語り切れないので割愛です。 しかし、「武蔵野茶房 江戸東京たてもの園店」に立ち寄った後、堀口捨己という人の設計による小出邸1階の応接室に入り、いやはやこちらでお茶できれば素晴らしかったのにと思うほどに次に入る洋館の喫茶を上回る素晴らしく魅惑的な空間だったのでした。特別展として「小出邸と堀口捨己 ー1920年代の創作活動、その造形と色彩ー」がちょうどタイミングよくやっていて、堀口捨己という人、にわか建築ファンのぼくには衝撃的な資料がずらり展示され興奮したのでした。 途中、「武蔵野茶房 江戸東京たてもの園店」に立ち寄りました。しばらく待たされた後に最も端の席に追いやられてしまったけれど構いはしまい。こういう洋風建築をリノベーションした喫茶にはあまり興味はもてなかったけれど、オリジナルに忠実なモノホン系であれば思いがけず味わい深いものとしみじみとホットワインをすすったのでありました。 いうまでもないことですが、お楽しみの「鍵屋」はやはり素晴らしくて、決まりきった感想で恐縮ですが、ここで熱燗を傾けたいと願わずにおられぬのでした。そんな機会を設けてくれないかなあ。 たてもの園から駅に引き返す途中に「CAFE LOUNGE Reve(レベ)」というお店があったので、立ち寄ることにしました。ライトな具合に山小屋チックな雰囲気でどうってことはないけれど悪くないお店でした。おばちゃまがカレーライスを召し上がり中で、コーヒーとカレーの相性の良さは十二分に弁えているけれど、あまりの香しい芳香に空腹感が助長されるのが敵わないのであります。お茶もそこそこに席を立つと、駅前の地産マルシェで買い込んだ大量の野菜を持ち帰り、この夜は自宅にてせり鍋に舌鼓を打ったのでした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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はじめまして。
数年前にたてもの園内で働いていた者です。たまたまこちらの記事を拝見していたところ鍵屋が出てきたので懐かしい気持ちになりました(^-^) 鍵屋は、毎年8月ころにやっている「下町夕涼み」というイベントで徳利とお猪口でお酒を出しており盛況だったことを記憶しています。最近もやっているかは分からないのですが、夕涼みでは夜間開園しており夜の鍵屋もやはり素晴らしいので、もしご興味があればぜひご覧頂きたいと思います♫ (2020/04/28 06:31:21 PM)
てながささん、はじめまして。
情報ありがとうございます。ああ、やっぱりイベントやってたんですね。 やはり居酒屋は夜にこそ真価を発揮するものと常々思っておりますので、それはぜひお伺いしたいですねえ。 現役の「鍵屋」も素晴らしいですが、やはり元祖はそれ以上に貫録を感じました。 できることなら抽選制でも仕方ないですが、1時間位はじっくり腰を据えて呑ましてもらえるというシステムだと素晴らしいです。 酒さえあれば肴はぬか漬でもあれば最早言うことなしです。 (2020/04/28 07:08:33 PM)
さかまたつみさんへ
お返事ありがとうございます! あのカウンターで、日本酒の樽をイスがわりにみなさん浴衣などでお酒を楽しんでおられ、とてもいい雰囲気でした。 おつまみは柴漬けやマカロニサラダのちょっとしたものが小皿で用意されていたと記憶します。 あっという間に時が過ぎてしまいそうですね(*´-`) (2020/04/28 08:26:25 PM) |