|
カテゴリ:板橋区
本蓮沼はけして賑やかな商店街があったりとか人が集うような町では少しもないのですが、そんな町だからこその探検をしているような、危険とは無縁の冒険心をくすぐってくれる様な期待感を抱かせてくれるのです。それはどういうことかというと、明日報告するつもりの素晴らしい大衆食堂をこそこの夜は最終目標としていたにも関わらず、そこに至るまでに何軒かの見過ごし店を経由しながらも2軒の寄り道を余儀なくされる辺りに如実に現れています。でっかい街道が町を引き裂いてもなお庶民的な町並みを失わさずに、デカいビルがニョキリと生えてこようと意にも介さず雑草のようにしぶとく2つ位時代を逆行させたかのように逞しくかつての生活を継続することに成功しているようです。そんな昔気質の生き様を支える一つの縁が酒場であるのはきっと間違いではないと思うのです。東日本大震災の絶望的なまでの不安とストレスをひと時でも癒してくれた―忘れるまでの効果を求めてはならないという自覚はありました―、そんな何軒かの酒場があった事を覚えているし、今でもそこに通っては時に当時の事を思い出したりもするのです。この報告がアップされる時、そのような回想に浸れるかどうかは少しの予断も許されぬところでありますが、取り敢えずは目先に残された報告を愚直にこなしていきたいのです。
本蓮沼の住宅街を東武東上線のときわ台駅方面を大雑把な方角と見定めて歩き出すと目的の店にはまだそれなりに距離を残しているというのに気になる酒場が出没しました。目当ての店がここから近ければ先にそちらに寄って戻ってくれば良いのだけれど、そうもいかぬ程度には距離があるから一瞬迷ったけれどやはり入ることにしたのです。「酒場 さつき」なんですが、まあパッと見にはなんてこともなさそうではあるけれど、こういう何気ない酒場ってありそうでなかなか見かけないのですね。しかも住宅街にポツネンと長屋があるって風景は遠からず貴重な風景となるはずです。余談ではあるけれど、今回の災厄に負けずにしぶとく抗って営業を続けていただきたいものです。でないと、この夜も集う老人たち5名の行き場が確実に失われるはずなのだ。さて、女将さんは狭い店内を出たり入ったりと窮屈な店内を縦横無尽に這い回っておられるのです。そんな忙しそうな女将さんにチューハイを頼みます。お通しとして出された根菜類がたっぷりの煮付けがおいしい。それと黒板にあった焼き身欠きニシンがふっくら柔らかくてこんな食べ方もあるのだとレパートリーに組み入れたいなんて思うのです。客たちは互いに言葉を交わすことは少ないけれど、いるだけで安心という言葉の不要な連帯感が漂っていて、まったりとした気分に次の店に急ぐのがばからしく思えるのでした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2020/06/30 08:30:05 AM
コメント(0) | コメントを書く
[板橋区] カテゴリの最新記事
|