仙台の短い滞在もあっという間に終了です。最終日はひたすら列車に揺られて東京を目指すのみ。しかし、途中、黒磯で下車して頼まれていた土産を買うという命を受けています。短い乗り継ぎ時間でミッションをクリアせねばならぬので、うっかり気が抜けません。そもそも区間によっては運行本数が限られているので列車の遅延という不可抗力であろうが、寝過ごしなど自身に原因があろうが、到着時刻に多大な影響を及ぼしかねないのです。まあ、黒磯でミッションをこなせさえすればこの日のうちに辿り着ければいいといった程度の簡単な綱渡りに過ぎぬのです。と思っていたのですが、見通しが甘すぎた。というか薄々は想像していたのですが、その土産というのが要冷蔵であったので、炎天下をのんびりと歩くなんてゆとりはないということに直面することになったのでした。途中保冷剤を分けて貰ったりして結果、なんとか無事、土産は持ち帰ることができたのですが、結局これが重荷となってちっとも気楽な道中とはならなかったのです。思えば乗り継ぎ駅である新白河駅でまだ昼前だというのに酷暑である時点でヤバいかもしれないとは思っていたのですが、その事実がもたらす事態を直視するのを先送りしてしまったのです。そしてその不作為が後々の苦労を招くことになったのです。などと書くといかにも現在の世界や日本の有り様を表すようで示唆的であります。
さて、それはともかくとして新白河では昼に呑むといってもそこは食事処となるのは致し方のないことでありまして、むしろちょっと歩いて呑める店があるのは有難いことなのです。ところが、まだ正午にはしばらくって時間だというのにすでに店の駐車場は埋まっていて、しかも表には並ぶ人の姿もあります。「菜華軒」はそんな人気店でありました。思ったほどには待たされずに店内に入ることができましたが、表に並ぶ人たちは窓側の卓席のわれわれを無遠慮かつ恨めし気に見遣っているのです。まあ、その程度の圧力に屈してはいられぬのです。まずはとりあえずのビールを注文すると、一緒に揚げナスのサービスがあるのも嬉しいなあ。注文もさほど迷うことなく餃子とラーメンにします。白河に来たら何はともあれラーメンを食べるべき。駅の向こう側のやはり白河ラーメンの人気店で食べたのがとても好みだったからこれは外せません。このラーメンが実は以前のものとは印象が異なって、むしろ普段食べ慣れたラーメンのよりちゃんとしたものって感じでとてもいいなあ。いつもは硬い麺にはあまり感心しないけれど、ここのは美味しかった。そして餃子も実にみっちりと具が詰まっていてしかも舌触りも良くて大いに好みでありました。さすがに人気店となるだけのことはあります。壁を眺めると多くの色紙があるのも納得です。視線はあまり気にしないけれど、次の列車の時刻は気になります。すっかり満喫して汗が引くには時間を要しそうですが、あまりのんびりとできないのが残念でした。