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地球人スピリット・ジャーナル1.0

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2009年4月1日

地球人スピリット
・ジャーナル2.0


へ引越しました。

2006.11.12
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地球人スピリット・ジャーナル2.0につづく



 

「人生のちょっとした難問」 
小浜逸郎 2005



 著者には、「学校の現象学のために」「方法としての子供」「オウムと全共闘」「癒しとしての死の哲学」「なぜ人を殺してはいけないのか」「なぜ私はここに『いる』のか」などの著書がある。あえていうなら高踏的でより抽象性の高い哲学的なアプローチが続いたものと思われる。そのことへの反省としてこの書は書かれたのだろう。

 最近、少々下手の横好きが高じて、哲学っぽい本を何冊か手がけることになった。哲学はとりわけ抽象度の高い言語領域であるため、その密室の中で過ごしていると、ともすれば具体的な経験の相への視点を見失いがちだ。そんな折り、筆者の最近の傾向を見破るように、「中二階からのまなざしを忘れてはいないか」というある批評家からの好意的な叱咤に出会い、洋泉社編集部からも、現代状況をどう読みとるかという問いに応えるべきだとの要請があった。いったん原理論レベルから状況論レベルにもどってみようと決断したしだいである。p220

 その反省には妥当性があったとは思われるが、本書が、状況論レベルにもどるという目的に達することに成功したかどうかは、私には疑問に思える。たしかに、高踏な哲学論議には、ちょっと飽き飽きして、いい加減にしておくれ、ということも再々ある。まさに密室の作業の連続だ。だが、本著がそこから脱出し得たとは私には思えない。

 質問内容は、実際のものではありません。洋泉社編集部が筆者に対して、現代の生活者の突き当たっている問題に応えてほしいという意図にもとづいてその大枠を用意しました。それを筆者なりにアレンジを多少加えるかたちで設定されています。p6

 私の拙いカウンセラー歴の中には、もちろん一度のカウンセリングでその目的を達する場合もあったし、逆に10数年を要してもなお解決せずに残ってしまったという問題もある。人生上の問題というのは、ひとつひとつの人生があるからこそ、問題として浮かび上がってくるのであって、表面的な事象だけをとらえて解決を考えることなどできるものではない。

 ましてや、表面的な問題を解決することが、本来の人生の目的でなく、表面的なものからより深度の深い世界へとゆっくり歩み始めていくことが人生の目的であってみれば、自分で質問をこしらえて、自分で応えて、これが、原理論レベルではなく、状況論レベルだ、と主張されても、それはウソでしょう、といいたくなる。それは原理論レベルを、単に状況論レベルに置き換えただけであって、やっていることは原理論レベルの密室の戯事である。

 著者が意図したことについては、私は賛成できるが、この書は成功したとは言えない。ひとつひとつの現場においては、紋切り型の「正解」などありはしない。丁寧に、ひとつひとつに対応していくしかない。そして、もっとも大事なことは、問いに対する回答は、質問者自身がすでに持っているはずだ、という他者に対する愛だ。

 偽装「身の上相談」とカウンセリングを比較して、偽装「身の上相談」のほうが面白く興味深いなんてことはあってはならない。原理的レベルから状況論レベルへ視点を変えるという試みは正しいが、著者には更に一段下がって、平行なまなざしでのリアリティを望みたい。著者の本にふれたのはこれが最初であるので、機会があれば他書にも目を通そうと思う。 






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Last updated  2009.03.29 13:12:52
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