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地球人スピリット・ジャーナル1.0

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2009年4月1日

地球人スピリット
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2008.08.19
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カテゴリ:アンソロポロジー


「白洲正子と楽しむ旅」
白洲正子 2003/08 新潮社 全集・双書 150p
Vol.2 No.0232 ★★☆☆☆

 、と来れば次は旅だ。身につけるもの、口にするもの、自らの住まい。ごくごく「自分」にちかい。自分の城に自分の好みのものをかき集め、その中に埋まるように生きていれば、小宇宙に漂うような快感を味わうこともできるだろう。
しかし、旅に出るということは、その小宇宙からの離反のはずだ。自分とはまったく違う、別宇宙との出会い。旅は「自分」の否定、という側面があるはずだ。

 晩年の白洲さんは「最近は海外にはお出かけにならないのですか」というような質問を受けると、「日本の中を回るのに忙しくて、外国なんぞに行っちゃいられません」という強い調子で答えるのだった。
 その返答には「海外に出て知見を広めるのも結構だが、あなた方の見過ごしている、と言うより見ることを怠っている日本を発見する魅力に私はとり憑かれているのだ。残された貴重な時間は、広く浅く見るよりも深く見ることに使いたい、どうして他所見などできようか」といった気持が籠められていたように思う。
129p「白洲正子と旅の楽しみ」青柳圭介

 「旅」という言葉には、私個人は、どうしても「漂白」の意味を込めてしまう。

 分け入つても分け入つても青い山   山頭火

 山頭火にとっての「青い山」とは、「人間至る所青山あり」という意味での「青い山」であろう。清山とは「墓所」ことだ。人間、故郷だけではなく、いかなる土地においても、人生を賭けるほどの仕事はあるはずだ。やる気があるなら、どの地でも生きていけるじゃないか、という意味だろう。だが、山頭火においては、むしろ、旅の途中で、どこで死んだかろうて、そこに自らのムクロを埋めてくれ、とでも言っているかのように聞こえてくる。

 「西行」とい著書のある白洲正子であれば、「旅」という言葉にどのようなニュアンスを込めているのか、今後読むすすめていけば分かってくるだろうが、すくなくとも、この「とんぼの本」シリーズの中での「旅」には、漂白という情緒はない。むしろ、骨董を求めるような旅であり、骨董「品」として「自宅」に持ち帰れない「美」を探しにいくような旅だ。自宅の庭を延長しているような、そんな旅だ。

 20を過ぎたばかりの白洲次郎が、愛車ベントレーを駈って、友人ロビンと出たヨーロッパ12日間の旅は、なにかを求める旅というよりは、オイリッシュ・ボーイと揶揄されながらも、油まみれになりながらの、道行きが楽しみの旅だったはずだ。生涯の中で、次郎・正子は、海外旅行を含め多くの旅をしたことだろうが、「楽しむ」旅、ばかりではなかったはずだ。

 
 
 この本の中には「楽しむ」旅が書いてある。これでは、ディカバリー・ジャパンの観光旅行ガイドであり、本来の白洲正子の持っている魅力を半減させてしまっているのではないだろうか。もし、彼女がもっと若くて、世界遺産をめぐる旅でもしていたら、「白洲正子と歩く地球」なんていう海外旅行ガイドブックがでていたかもしれない(笑)。

 もちろん、そういう旅も、そういうガイドブックも一笑に付され、すべて否定されるべきものではないが、「旅」そのものには、もうすこし余韻を残しておきたい。別に「北の宿」だの、
「津軽海峡・冬景色」だの、「火の国へ」だのという阿久悠が書くような演歌の世界を白洲正子に求めているわけではない。

 だが、私自身にとっての旅は、もちろん傷心の旅ばかりでもないし、いまだに地図なき旅であるが、一般に人生そのものが「旅」である、と表現されることがあるとすれば、その底辺には、ひとすじ「漂白」の意味合いがどうしても欲しい。





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Last updated  2008.08.19 08:48:52
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