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地球人スピリット・ジャーナル1.0

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2009年4月1日

地球人スピリット
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2008.08.19
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カテゴリ:アンソロポロジー


「白洲次郎」
白洲正子・他 1999/08 平凡社 単行本 127p
Vol.2 No.0233 ★★☆☆☆

 身うちが書いている本を読むと、ほとんどが「世間は白洲次郎を買い被りすぎている」と連発している。そこはそこ、身うちならではの謙遜の美徳なのかもしれないが、再読しても、必ずしもそうばかりも言えない香りが漂ってくる。

 今回、当ブログでは、「白洲次郎の流儀」から読み始めた。クルマつながりで白洲ワールドに近づいた手前、涌井清春の文章が載っているこの本がもっとも当ブログとクロスしていたわけだから、この入口は正しかった。そして、二冊目に次郎・正子の孫、白洲信哉の「白洲次郎の青春」を読んだのだが、この「旅」もまたよかった。

 孫・信哉から見ていた次郎は、書物などに書かれているような次郎とはまた別な老人だ。青年になって信哉がなにかのおりに、おじいちゃんは、昔、吉田茂のもとで働いていたの?と聞くと、軽くうなづく程度で、それ以上のことは、こわくて聞けなかったという。新憲法にかかわる終戦連絡事務局参与時代のことなどに触れようとすれば、次郎は孫に対して何も語らなかったという。そして、「あいつは最近、新聞記者のまねごとをする」というようなボヤキを信哉の父親に漏らしていたという。

 所詮、人間なんて、自分のことさえよくわからないのだから、他人のことなどさらにわかるわけがない。白洲次郎について知ろうと思っても、すべてにおいて知ることなどできるわけがない。聞こえてくるひとつの人間像は、さまざまな伝承のなかから取捨選択されたごく一部の要素をつなぎ合わせた、虚像でしかない。

 もし、人びとが白洲次郎という虚像を、さもアイドルのように楽しむことを望むなら、この平凡社のコロナ・ブックスの白洲次郎」はうってつけの一冊だ。場合によっては、まず手始めに、この一冊から読みすすめるべきだろう。そして、あるいはこの一冊だけで、白洲次郎ワールドから離れていったとしても、なにも悪いことはない。この一冊だけで足りている。カッコいいアイドル・白洲次郎がここにいる。

 しかし、あれから10冊ほどの次郎本をめくり、妻の正子ワールドにも踏み入ってしまってから、さらに戻って、このコロナ・ブックスをめくってみると、らせん階段を一巡したような不思議な感覚に襲われる。もともと語られている次郎はこれでいいのだ。しかし、これでは白洲次郎と読者の間の距離は縮まらない。カッコいいアイドル・白洲次郎がここにプロマイドとして存在しているだけだ。北康利が危惧するように、「高倉健主演の任侠映画を見たあとの観客が、肩で風を切りながら映画館を出てくる」のと同じことになる。

 白洲次郎は、不況をかこつバブル崩壊後の出版業界に無理やり作られたアイドルにも見えてくる。出版界の救世主のような趣さえ感じる。正子を含め、戦後の憲法論議を含め、あるいは、周辺のあれやこれやを踏まえた後で、それでもなおかつ、逆説のように、このコロナ・ブックスを読むことができるとすれば、それはそれ、ひとつの白洲次郎の楽しみかた、ということになろう。さすが平凡社。アイドルの作り方がうまい。






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Last updated  2008.08.19 10:10:16
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