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地球人スピリット・ジャーナル1.0

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2009年4月1日

地球人スピリット
・ジャーナル2.0


へ引越しました。

2008.08.20
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カテゴリ:アンソロポロジー


「白洲正子の世界」
白洲正子 1997/04 平凡社 単行本 142p
Vol.2 No.0234 ★★★☆☆

 コロナ・ブックスは雑誌「太陽」から生まれたハンディなヴィジュアル・シリーズです。コロナ・ブックスは、見て美しく、読んでみて新たな気持ちが広がっていくような、好奇心のガイドブックです。
表紙見返し

 なるほど、雑誌「太陽」とのリンクがあったのか。ハンディでヴィジュアルなのは確かだ。一流の写真家による美しい画像がふんだんに盛り込まれているので、確かに「見て美しい」。さて、「読んでみて新たな気持ちがひろがっていく」だろうか。どちらに向って・・・? 「白洲正子の世界」へ向かって・・・?

 白洲次郎を扱ったコロナ・ブックスは、いかにも平凡社がつくったアイドルのプロマイドという感じだったが、こちらは、なんだか元祖・アンノン族の世界のご紹介、という感じがした。もともと婦人雑誌にはさまざまな手芸な裁縫の型紙がついていたという。それをもとにして自分で作ったり、店に持ち込んで好みの服を作ってもらったという。その婦人雑誌のパターンを打ち破ったのが、雑誌「アンアン」だった。

 朝起きて、三度のごはんを食べて、夜になると寝る---そういうことが「暮らし」だと思っていたからで、若い頃の私には人生も思想も皆無であったということだ。夢のような暮らしの中に、やがて美術品が割り込んで来た。もともと嫌いなものではなかったし、ちょうど戦後の混乱期のことだったから、多くの大名や旧家から、目を見はるような名品が、次から次へと売りに出された時代であった。値段も今から思うと嘘みたいに安かった。買うことの楽しさを知った私は、道具屋へ日参し、美術品の洪水の中で我を忘れた。p14

 78pには「22~23歳の頃には、油絵を書いていた」という説明つきで、キャンパスに向っている白洲正子の写真がある。後ろには、彼女が亡くなったあと、屋根裏部屋からでてきたという自画像を含む彼女の作品も数枚写り込んでいる。彼女亡きあと、この絵を赤瀬川原平が武相荘に尋ね、どこかに「彼女は、自分で絵が下手だと納得したのではないか」というような内容の文を書いていた。
 

 家族の証言によれば、ごくたまに自分の使った食器などを洗ったりすると、金メダルを取ったように大騒ぎした、と揶揄されるほど、彼女は家事をほとんどしなかったらしい。若い時分に描いた油絵も長続きしたようでもないし、子供の自分から始めた「能」も、結局、男の色気には勝てないとやめてしまっている。花も自己流だと言うし、お茶もやらないという。この辺は、工作室まで作って、農作業の傍ら、さまざまな生活道具をこしらえた次郎とは、全く違っている。

 家事もやらなければ、芸事も徹底しない。自らやったクリエイティブなことというと、骨董を「買う」ことだった。敢えていうなら、彼女には骨董を「買う」ことしか残っていなかったともいうべきだろうか。もちろん、その後、彼女の文筆活動があるのだから、そのクリエイティビティは文筆に集約されることになるのであろうが、かなり多才に見える彼女ではあるが、実は、かなり不器用な女性だった、のではないだろうか。

 このコロナ・ブックスが「白洲正子の世界」への向っての好奇心を満たしてくれるガイド・ブックだとするならば、その「世界」は、不器用な彼女がかき集めた「暮らし」の数々ではなくて、彼女の文筆が切り開いた世界こそを、独自性をもった世界、と認める必要があるのではないだろうか。

 白洲次郎が、英語を流暢にあやつる多弁な男に見えながら、実は訥弁の「無口」な存在が実像だったとするならば、実は、白洲正子は、多才な美の世界に遊ぶ自由な女性に見えながら、じつは自らは美を生み出すことのない、口は達者だけど、不器用な人、というのが本当の姿だったのではないか。もしそうだったとするならば、ここにおいても、この二人の際立った対比が、またまた周囲の「好奇心」を刺激する、ということになる。






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Last updated  2008.08.20 09:31:27
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