待ちに待った劇団四季・月替わり公演再開の第一弾は、
映画にもなった「
コーラスライン」。
マイケル・ダグラスが
演出家・ザックを演じる映画版は大好きで、
幾度も観た上、学生のときはダンスの発表会でも曲を使いました。
(あの有名な、ビールのCMにもなっている
「One!」の旋律で舞うラインダンス。
美容にとってもよくて、発表会の練習で踊り続けていたときは
一ヶ月で4キロほど体重を落としました。特に腿の贅肉がとってもよく取れますよ☆)
さてさて、劇団四季の「
コーラスライン」、舞台は予想どおり、とってもシンプルなつくり。
真っ白いラインが引かれた床、ホリゾント前がガラス張りになって、
ライトの加減によっては、キャストと共に観客の顔までくっきりと映る。
映画との違いを楽しみつつ、拝見しました。
【映画・コーラスライン DVD】
大好きなキャラクターで、舞台でも注目したかったのが、年増の
シーラと整形美人の
ヴァル。
映画と同様の(というより、ブロードウェイオリジナル版がそうなのですね)
ゴールドのレオタードに身を包んだ
シーラは、ダンサーにあるまじき?
ややふくよかな体型も、貫禄たっぷり。
ダンサーを続けるか、ダンスの講師にでもなろうか、というセリフは、
不安定な身分で、ブロードウェイのダンスシーンを支える多くのダンサーたちの
状況が如実に現われる表現でした。
(彼女をタイツをはいてでも演じようかと言っていたジェリー。
あなたのお好みはやはり、ふくよかなママ・モートンタイプなのかしら?)
整形美人の
ヴァルは、「
オンディーヌ」で
ベルタを演じた
大平敦子さん。
「
Dance:Ten:Looks:Three 」は自分の美しさがうれしくてたまらない、
美貌を生かしてどんな場所にいってものし上がってゆく、と高らかな宣言。
自分の手に入れた美貌を誇るしたたかさを演じるには、
ややふっ切れ方が足りなかったように思います。
面白いなと思ったのは、映画では黒人男性が演じていた
リチーの演出。
ブロードウェイのオリジナル版を四季がやることになったとき、
演出家の
マイケル・ベネット氏が「
全員、ノーメイクで。」と指定したとのこと。
リチーの自己紹介のセリフに「I'm Black」とあるので、
浅利慶太氏は途惑ったそうですが、
「リチーは思い込みの激しい男っぽい男というのが肝心のイメージ。」との助言で
「
俺は男だ。」に変更。
アメリカンジョークと同じく、このセリフにも笑いが起こり、四季の舞台を観た
ベネット氏は、
他でもこの演出を使わせて欲しいと言ったそう。
映画でのリチーの名曲、高音域のとても美しい「
Surprise,Surprise」が
舞台にはなかったのが残念です。オリジナルバージョンにはあったのでしょうか?
【コーラスライン】
頭1つ抜け出てよかったのが、
グレッグの武藤寛さん。
宝塚などでもずらりと並んだラインのダンサーで、まったく同じ踊りをしていても
どうしても目に付いてしまう方が、次代のトップになってゆくもの。
下村尊則さんが「
ジーザス・クライスト・スーパースター」で
ヘロデ王をされたときに
そんな印象を受けていたところ、あれよあれよと言う間に、
石丸幹二さんと同じく
主役級の役をされる機会が多くなっていかれたものです。
武藤さんも、そんな方のようにお見受けしました。
これから注目してゆきたい役者さんです。
(いま、キャストボックスを見ましたら、下村さんが明日からスカーを。観たいです☆)
ブロードウェイの「
コーラスライン」は、「
キャッツ」がその記録を塗り替えるまで
公演回数6137回、15年のロングラン記録を誇っていたそうです。
ロングランの最中に作られた映画版が、その経験値を踏まえ、より洗練された
作品として昇華しているさまは、「
キャッツ」が塗り替えた記録をこれまた破った
「
オペラ座の怪人」に通じるものがあります。
「
オペラ座の怪人」の舞台と違い、「
コーラスライン」が観られるのは、
ただいま日本だけ。ゆえに今回の公演は、とても貴重な機会。
全国公演も予定されているそうですので、お近くでの公演があれば、
ぜひ、足を運んでみてくださいね。
全国公演予定地
「岩見沢・旭川・札幌・苫小牧・函館・北上・八戸・弘前・秋田・いわき・
山形・福島・宇都宮・前橋・長野・塩尻・新潟・富山・姫路・岡山」
「静岡・四日市・富士・浜松・羽島・金沢・福井・大阪狭山・伊賀・近江八幡・尼崎・周南」
「One!」、「Music of the night」収録☆
【ベスト・オブ・ブロードウェイ】
(再上映を重ねている映画とロングランが続いている舞台両方で、
「
オペラ座の怪人」を同時に見比べることのできる国にいるのは、
考えてみれば、とてつもなく贅沢なことですね。)
1923年版 1943年版 2004年版
【☆新旧作品を比べるのも一興☆】
さて、2ー4月の「
コーラスライン」、
4ー7月の昭和の歴史三部作「
李香蘭」、「
異国の丘」、「
南十字星」に続いて、
8月からは待望の「
鹿鳴館」がお目見えと、四季会報「
ラ・アルプ」情報。
東京公演のチケットが取れなかったのを悔しく思っておりましたが、
きっと次はこちらへ、と願っていたのが叶い、嬉しく。
三島由紀夫の美学の極致がどのように表現されるのか、
東京でも延長公演となっているので、期待大。
そして9月からは「
夢から醒めた夢」。
こちらも愛を様ざまな形で見せてくれる純日本製の素敵なミュージカル。
お子様とご覧になっても、大人が観ても楽しめます。
よろしかったら、どうぞ。