劇団四季の昭和三部作の第一弾、「李香蘭」を観賞。
野村玲子さんの舞台をビデオで拝見していましたので、
新キャストでどのようになるか、楽しみに足を運びました。
ちょうど日本人の精神性について、レポートに書いていたところでしたので
戦後の精神文化に多大な影響を与えたと思われる先の戦争について描かれた
一連の物語は、私にとってとてもタイムリーな作品。
【山口淑子(李香蘭)《コロムビア音得盤シリーズ》】
清国の復活を目指して、日本人として諜報活動に身を投じた
川島芳子と、
満州と日本の架け橋として、その美貌と歌声を響かせた
山口淑子こと李香蘭。
ふたりのよしこの生き様から焙り出される抗日運動、第二次大戦の一側面が
浮かび上がります。
【清朝の王女に生れて 改版】
李香蘭の相手役・杉本には
芝清道さん。
「
ジーザス・クライスト・スーパースター」以来、5年ぶりの名古屋とのこと。
彼のユダと、下村尊則さんのヘロデ王に接して、私の再びの演劇鑑賞歴が
始まったのを懐かしく思いながら拝見していたのですが、
やはりこの方、飛びぬけてお声がよく、観客席の隅々にまできちんと
想念の伝わってくる役者さんなのです。
二階席にいる人にも、きちんと視線を配るさまも主役となるにふさわしく。
【ピアノソロ ミュージカルベストセレクション】
「
オペラ座の怪人」の
ファントムをしたいと、昨年おっしゃっていたという
記事を拝見しましたが、この方なら素晴らしい仮面の男ができあがるでしょう。
ユダ→ファントムの手順もきちんと踏むことになりますので、
浅利慶太さま、ぜひ、芝・ファントムのご検討を☆
ラッキーなことに、公演が終わったあとの「
歌唱セミナー」にも参加できました。
舞台で歌われる歌を、俳優さんたちに教えていただき、一緒に歌えるこの催しが、
たまたまチケットを取っていた日にあることを知って、申し込んでおいたのです。
お教えいただいた歌は
「松花江上(ソンホアジアン シャン)」。
舞台でも中国語で歌われていて、満州事変で故郷を追われた中国の方々を
結び合わせる大きな原動力になった歌。
いまでも現地では子供から大人までよく知られている歌で、
四季の中国公演では舞台と客席が一体となり、大合唱になったのだそうです。
【李香蘭 劇団四季】
当日、曲の解説を読んだとき、もしかしたらラ・マルセイエーズのように勇ましいものかと思い、
この曲を日本人が歌っていいものか、迷ったのですが、
とても叙情にあふれた素敵な詩で、私の名前に関する文字が何度も出てきましたので
これはご縁と、やはり参加することに。
【フランス革命秘曲集】
合唱部で行っていたのと同じ発声練習のあとは、30人くらいずつ5つのパートに分かれます。
さきほどまで舞台に立っていた女優さんと、中国から四季に参加している若い役者さんに
発音を教えていただきながら歌う貴重な体験でした。
昭和三部作、次の公演はシベリア抑留された貴公子を描いた「
異国の丘」。
さまざまな角度から、かの戦争にスポットを当てて描き、
海外からも若き才能を受け入れて成長し続ける劇団四季の姿勢に、
大きな拍手を送りたいと思います。