劇場の一列目、二列目に陣取って、15回以上同じ作品、
つまり「RENT」を見続ける熱狂的な方々を「RENT HEADS」と言うのだそう。
昨年来ずっと、映画・「オペラ座の怪人」に二桁回数は当たり前で通い詰め、
劇場の一番前から熱い視線を送っている方々には馴染み深いお話☆
【RENT】
ブロードウェイミュージカルのチケットはプレミア付きで
1000~2000$になることもあるという現状に対し
「若い世代にもっと観て欲しい」という、ジョナサン・ラーソンの遺志に従って、
かぶりつきの最前列、二列目を34席、20$で用意するという心意気にも、
「ミュージカルを観に行けない人たちのために、『オペラ座の怪人』の映画を作った。」という
ジョエル・シューマッカー監督の言葉同様、とても共感するものがあるのです。
【オペラ座の怪人】
当日は、このところ読み進めているコクトーに関する本を携え、
やや早めに会場近くについてしまったため、
すぐ隣にある図書館にて「双頭の鷲」の脚本を一時間で読み飛ばしてから観賞に臨みました。
「RENT」は映画も観ていないまま、さらにブロードウェイ式、字幕あり舞台も初体験。
それでも「ラ・ヴィ・ボエーム」、「ボヘミアン万歳!」の唄が、妙にしっくりくるのは、
面白いことに、コクトー自身や、彼の作品・「双頭の鷲」のモチーフになった
白鳥城の主や、その親友である美貌の王妃が、まさにボヘミアンであったから。
【双頭の鷲】
身分境遇、一切かかわりなく、ただ己の感性に従い、たとえ身の破滅に至ろうとも
美を真を求めたアーティストの末裔たちの勇姿を、
双頭の鷲のごとく、ツインソウル、魂を分かち合う者を求める慟哭を、
100年前のボヘミアンはいかにみることか。
レント、RENT、この世は借り物、お城に住もうと、屋根裏に棲もうと、
地位も、名誉も、この身も心も、ただはかなき夢まぼろし。
それならば、なおさら、この一瞬に賭けること。
儚いゆえに、いっそう真摯に、最期の一点を見据えて進むこと。
観賞の前夜には、無名の選手を大舞台に載せるまでに育て上げ、
その栄光を見る直前で亡くなった伯楽の名作コミックを再読していたところ。
かの物語が、当時の日本の若い方々にどれほど大きな影響を与えたかは、
大きな志を持って作られ、この世に送り出されたミュージカルと同じ。
【山本鈴美香作品集】
シンクロニシティ満載、教え満載、いまだ解けぬ問いをも抱えて、
今週末は映画、来週は日本版「チック、チック、ブーン!」へと進みます。
☆☆☆ 中部地方の方へ朗報
映画・「RENT」が、伏見ミリオン座さんで再上映されます。
12月2日(土)~4日(月)まで。
詳しくは、
こちらへ。☆☆☆
「演劇・映画・文学談義」